昨年末、民主党を離党した九人の国会議員が、年が明けて「新党きづな」を結党したと報じられた。政党助成金を受け取るには、一月一日現在の所属議 員名や党名、所在地などを一月十六日までに提出しなければならない。見え見えの助成金目当ての新党の名前が、「きづな」というのはブラックユーモアか。み んなでもらえば恐くない…。

 この政党助成金は、かなり時代錯誤の制度だ。時事通信の世論調査によれば、二〇一一年(平成二十三年)十二月の政党支持率は、民主党一〇・一%、 自民党一三・一%、公明党四・二%、みんなの党二・〇%、共産党〇・九%、社民党〇・六%、国民新党〇・一%、たちあがれ日本〇%、新党改革〇%、ぜーん ぶ合わせて三二・八%。一方、支持政党なしが六七・二%。つまり、有権者の七割近くが、「支持する政党はありません」と言っている現実が歴然とある。

 ところが、国民一人当たり二百五十円が拠出され、議員数や直近の国政選挙の得票率によって、各政党に分配される。二〇一一年は、受け取っていない 共産党を除く九党に合計三百十九億円が配られた。ちなみに、民主党は百六十八・二億円、自民党は百一・一億円、公明党二十二・七億円。 社民党七・六億円…と続き、国会議員が一人だけの新党日本でさえ、一・三億円を受け取っている。

 これって、著しく国民の心情と乖離している制度ではないのか。そもそも一九九四年にこの制度を創設した時に、企業や団体からの献金を禁止するため に、という大義を掲げて国民を納得させたのではなかったか。二十年後の現在、どの政党も支持しない有権者が七割近くに達し、しかも企業や団体からの献金は 依然として続けられている。自分たちは国民の税金でのうのうと高い報酬を受け取り、その上助成金を山分けする。片やあんた達を食わせている国民は、この厳 しい経済状況の下で消費税を増税されて、さらにヒーヒー言わせられるのですね。国民が挙げて支持政党ナシに流れる理由は明々白々じゃないのさぁ。枕はここ まで。

(工藤 稔)

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