このザマを見る限り、公務員って、寂しい職種だと思う。自分がした仕事の結果の責任を取ることを許されないんだから。恐らく、この構図、一事が万事なんだろうな。

 富良野市を流れる空知川の支流・西達布川上流に建設された農業用の東郷ダムは、一九七二年度(昭和四十七年度)にダム建設を含む事業に着手、七七 年度に本体工事がスタートし、十六年後の一九九三年(平成五年)にダムに関する全ての工事が終了した。ところが、九四年に水漏れが見つかり、三回にわたり 事業計画を変更、当初は八十億円と見込まれていた事業費は、三百四十三億円に膨らんだ。それでも漏水は止められず、ダムに一度も水が蓄えられたことはな い。

 昨年十一月、会計検査院から着手から約四十年を経過してもダムの漏水が止められず、いまだに貯水できないのは問題だとして計画の見直しを求められた。

 さて、国土交通省北海道開発局はどうしたか。今月三日から四日の新聞各紙は、開発局が、貯水量を計画の四%にあたる十八万㌧に減らし、七年かけて 川からの用水路などを整備する案を富良野市などに示したと報じた。つまり、ダムの機能を九六%失う施設を、この期に及んでなおダムとして完成させるという 形を取り、さらに七年の時間と数十億円の国費を投じて辻褄を合わせよういうのだ。

(工藤 稔)

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