高橋はるみ知事が、上田文雄札幌市長の「震災がれき」の受け入れを拒否する姿勢について、「残念ですけど、信念に基づいて、おっしゃっておられる んじゃないでしょうか。道としては、少しでも関心がある市町村に、職員を派遣して丁寧に説明し、一地域でも多くの理解を得るようにしたいと思います」(六 日付北海道新聞朝刊一面のインタビュー)と述べたという。「信念」という言葉を使い、あたかも上田市長が科学や事実ではなく、感情や人生観のようなもので 判断していると言いたげである。

 東日本大震災で発生した岩手県と宮城県のがれきを日本全国の自治体に運び出す「広域処理」の話が出たとき、直感的に「あぁ、あの方は、間違いなく 北海道は率先して受け入れますって手を挙げるな」と思った。出たがり、パフォーマンスだーい好きの我が知事だもの、こんなチャンスはないと考えるに違いな いと。

 まして、「自然界にも放射能は一定程度ある。ゼロという状態はありえない」「一般廃棄物を道内で焼却しても15~20ベクレルくらいは出ている。 健康に影響するレベルかを考えていくことも現実的な対応だと思います」なんて発言を聞かされると、北海道電力とタッグを組んで原発を推進しようとしている お方だから、日常的に放射線量がある程度のレベルで観測される方が、「それくらい大丈夫ですよ」と比較論で逃げられたりするから、何かと都合がいいと考え ているのかも知れない、と勘ぐりたくなる。

 そもそも、セシウムなる放射性物質は、核実験や原発の事故が起こる以前には、自然界には存在していなかったはずだ。一九六〇年代の冷戦時代、世界 各国が競って行った核実験や米国・スリーマイル原発、そしてソ連・チェルノブイリ原発の事故が、「焼却しても15~20ベクレルくらいは出ている」という 現在の状況をもたらしてしまったのではないか。彼女の論理によれば「もう汚れてしまっているんだから、もう少し汚したって構わないじゃない」となってしま うぜ。

(工藤 稔)

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