三十五万の人口を持つ旭川の市議会議員となり、その議会の長を務めるというのは、本人が望んだからといって、そう易々と就けるものではあるまい。私のような、権威に縁のない、普通の市民の感覚からすれば、少々目立ちたがりだったり、上昇志向があったり、大風呂敷を広げる質だったりと多少の瑕疵(かし)はあるにしても、品格とか、知見とか、人望とか、律儀さとか、はたまた思慮深さとか、謙譲の精神とか、いい意味のおっちょこちょいとか、そんなイメージを抱きたい、そう思う。
加えて、別に私は威張れるほど払ってはいないが、ありていに言えば税金で食ってる職業なわけだし。まして、今期の旭川市議会は世代交代の時期で、少なくない若い新人議員が当選を果たした。議長経験を持つ議員ならずとも、期を重ねているベテラン議員は、彼らのお手本にならなければいけないはずだ。少なくても新人議員に「あぁ、こんなデタラメをやっても許されるのかぁ」などと思わせてはいけない。
前々週の一面で「旭川市議の単独行政視察 平成23年度、14人の報告書を検証」の見出しで、新人議員五人の視察報告書に焦点を当てた記事を掲載した。簡単に言えば、議員の単独視察の費用対効果を考えるきっかけにしよう、という意図である。
断っておくが、私は議員の視察をムダだから止めてしまえ、と考える者ではない。記事の中に議員の声として「何もしたくない議員は『ない方がいい』かも知れない。だが、果たすべき議員の役割を認識すべき。『何かをやりたい』議員にとっては、有り難い制度」とあった。その通りだと思う。三十六人の旭川市議会議員を「市議」と、ひと括りしてはいけない。
旭川市議の単独行政視察は一回の視察で三つ以上の自治体を訪問し、旅費や宿泊費、日当を合わせた経費が二十二万円以内と決められている。その他の詳細については前々週の記事に譲る。
(工藤 稔)
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