「トモダチ作戦」に参加した米軍の兵士ら九人が、東京電力のうその情報で被曝させられたとして、同社に対し計一億一千万ドル(九十六億円)の賠償を求めてアメリカ連邦地裁に提訴したのだそうだ。おとそで少々良い気分になって観ていたテレビのニュースで知った。そして思った。さすが訴訟好きのアメリカ人だぁ。トモダチだって訴えちゃうだもんなぁ、なんて。
改めてインターネットで検索すると、四日付の日刊ゲンダイの記事が詳しかった。同紙らしい言い回しもあるが引用すると――
「訴えたのは米空母ロナルド・レーガン乗組員のほか、原発事故から七カ月経って生まれた米兵の一歳児の子ども。乗組員らは、一一年三月に福島原発の沿岸で被曝し、将来的にがんになるリスクが高まった――と主張。『東電は福島原発は安全で修復もきちんとされていると言っていたが、原発周囲の放射能汚染の事実を隠蔽する不当表現で詐欺』と訴え、賠償金のほか、将来の医療基金として一億ドル(約八十七億円)を求めている。トモダチから訴えられるなんて東電も唖然ボーゼンだろうが、事故後の二転三転する説明を聞いたら、カンカンになるのもムリはない(後略)」
約二万四千人の将兵、百九十機の航空機、同空母を含む二十四隻の艦艇が参加したトモダチ作戦は四月三十日に終了している。米兵らは、一カ月半の“被曝可能性”を盾に、一人九千万円の賠償を求めている。さて、二〇一一年三月十一日以降、「ただちに健康に影響はない」のアナウンスを信じて、降り注ぐ放射能を浴び続けた被災地の人たちは、いかほどの賠償を東電や国に求めればいいのだろう。
(工藤 稔)
(工藤 稔)
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