「この道は、旭山動物園に向かう人たちが通る。観光バスも、道外の人も、外国からのお客も、この街路樹を見るわけだ。旭山動物園は、『いのち』をテーマに掲げているんだろう? この無様にぶった切られたナナカマドを見て、皆さんどう思うか。同じ業界の者として恥ずかしいよ」――市内で造園業を営む男性は憤まんやる方ないという口調で糾弾する。

 今年二月十九日付の小欄、「動物園通りに無残な姿をさらすナナカマドの剪定について取材すると」の見出しで書いた、あの街路樹のナナカマドが、芽吹きの季節を迎えた。状況は、写真の通りである。葉をかろうじて出している枝もあるが、芽を出す部分を切り落とされたため全く葉のない枝もある。ド素人の私の目にも、いわゆる「樹形」も何もあったものじゃない、と映る。

 一級造園施工管理技士の資格を持つ職人に見てもらった。

 「春先は、まだ木に力があるから、頑張って葉を出す。だけど、夏になったらどうかな。次第に弱って、枯れてしまう木が出てくる可能性が高いと思う」と案じながら、「あり得ない剪定(せんてい)だよ。職人の仕事じゃないし、仕事とも呼べない。職人なら、少なくても、春になって葉を出す姿をイメージして切る。どうしてこんなことになっちゃったんだろう。ナナカマドがサクラと同じように、ちょっと強く剪定すると枯れやすいというのは、常識なんだけど」

 おさらいをすると、この愛別・当麻・旭川線、いわゆる動物園通りの街路樹の剪定作業は、上川総合振興局旭川建設管理部事業室事業課施設保全室が担当し、入札によって旭川市内の造園業・M社が落札した。ナナカマドは三百二十六本、他の路線のイタヤカエデやイチョウを含めて、設計変更などがあり最終的に約四百七十五万円が支払われた。作業は昨年十一月から十二月にかけておこなわれ、十二月二十日、本庁から来た検査官に、保全室の職員が同行し、完了検査をおこなって「合格」と判定した。

(工藤 稔)

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