さすがだと唸ってしまった。卒倒しそうにもなった。国のためなら、日本を取り戻すためなら、世界に向けて嘘をつく。胸を張って大ぼらを吹きまくる。

 「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」

 「汚染水は福島第一原発の〇・三平方㌔㍍の港湾内に完全にブロックされています」

 「健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない」

 二〇二〇年夏季オリンピック招致の最終プレゼンテーションでの安倍晋三首相の言葉である。

 首相は、世界各国から集まった報道陣との質疑応答の冒頭、こう言い放ったという。

 「まったく問題ない。どうかヘッドライン(新聞の見出し)ではなく、事実を見ていただきたい」

 新聞もなめられたものである。私の知る限り、総理のこの暴言に抗議する記事を書いた日本の大新聞はない。

 私は祈る。今後四年以内にマグニチュード七級の首都直下地震が約七〇%の確率で発生するという東京大学地震研究所の予測や、首都直下を含む南関東の地震の発生確率が「三十年以内に七〇%程度」とする政府の地震調査研究推進本部の評価が外れることを。そして、安倍首相の嘘とホラとは正反対に、収束の先行きが全く見えない「汚染水の地下水と海への流出」が一日も早くコントロールできる日が来ますようにと。

 七十三年前の一九四〇年(昭和十五年)、日本はせっかく獲得した東京オリンピック開催権を返上した。その翌年十二月、日本軍の真珠湾攻撃で米国との戦争が始まった。二〇二〇年の五輪が二度目の「幻の東京オリンピック」とならないよう、祈るだけだ。

 読者から、「税金で敬老会をやる必要があるのか?」とタイトルがつけられたファクスが届いた。もろ手を挙げて賛成、というわけでもないが、そうだよなぁとうなずける面もある。そのサワリを紹介すると――

(工藤 稔)

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