三月二日、名護市辺野古に入って二日目。午前五時半、宿泊しているゲストハウス「海と風の宿」を出発して、キャンプ・シュワブ前の座り込みの取材に向かった。この宿に何日か泊まり込んでいる女性のレンタカーに便乗させてもらう。まだ真っ暗なのだが、駐車場になっている辺野古漁港には、次々に車が集まって来て、座り込み現場との間でシャトル運行されているワゴン車に乗り込む姿がある。

 キャンプ・シュワブの新ゲート前には、五十ほどのテントが並ぶ「テント村」がある。工事用の車両や建設作業員が基地に入るのを監視する目的で、泊まり込んでいる人もいるという。テントの前に「新基地断念まで 座り込み抗議 不屈の605日」「孫、ひ孫、未来の子供たちよ おじい、おばあたちは 今、平和の為に闘ってるゾ」の立て看板があった。

 工事専用の第一ゲート前には、座り込みを邪魔するように沖縄県警の大型警備車両が二台、置きっ放しになっている。シャトル・ワゴン車で続々と人が集まって来た。本土から駆け付けた人も少なくない。年代は、六十歳代以上が六割ほどか。二十歳代、三十歳代の若い世代の姿も目立つ。

 ようやく明るくなった午前七時を回る頃には、二百人近くの老若男女が座り込んだ。琉球新報の腕章をした記者に、「いつもこんなにたくさんの人が座り込むんですか?」と尋ねてみた。「今日は少ないくらいです。多いときには三百人以上は集まりますから」と答えた。そして、「私は記者になって十年くらいだけど、こんなに基地反対の運動が広がりを持つのを見るのは初めてです。年齢が高い人が多いけど、若い人たちもたくさんいます。県民が圧倒的な民意を示したにもかかわらず、強権的にことを進める、今の政権に対する反発ですよ」と話してくれた。

 座り込む人たちを遠くから見守っていた沖縄平和運動センターの大城悟事務局長(52)に話を聞いた。

 「これまで、沖縄が認めて造った基地は一つもなかった。すべて銃剣とブルドーザーで、強権的に土地を接収されて造られた。この辺野古に新基地が出来れば、初めて沖縄が認めた基地になる。普天間の県外移設を公約に掲げて当選した前知事(仲井眞弘多前知事・工藤注)の裏切りで、初めて沖縄が容認した基地が出来ることになる」

 「県民の思いは、沖縄に、戦争するための米軍基地はいらない、大浦湾の美(ちゅ)ら海を潰す新基地はごめんだ、です」

 「沖縄の民意を潰して、辺野古に新基地を造ることは、安倍政権の戦争法につながっている。だから、辺野古を止めることは、政権の暴走を止める意味があると感じている」

 「リベラルから左側にいる人も、右にいた企業も、覚悟を決めてオール沖縄の輪に加わった。辺野古の闘いは、イデオロギーではない。沖縄のアイデンティティーですよ」

 

(工藤 稔)

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