二月二十四日、沖縄県名護市辺野古で工事が進められている米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票が行われた。自民党と公明党が「自主投票」という名の棄権推奨をする状況下、投票率は五二・四八%。投票総数六十万五千三百八十五票のうち、埋め立てに「賛成」が十一万四千九百三十三票(一八・九九%)、「反対」が四十三万四千二百七十三票(七一・七四%)、「どちらでもない」が五万二千六百八十五票(八・七〇%)という結果だった。

 ざっくり言えば、賛成が一九%、反対が七二%、どちらでもないが九%。沖縄県民が百人いたら、七十二人が、「辺野古の海を埋め立てるな」と言っているわけだ。その県民の明確な意思に対して、安倍晋三首相は「結果を真摯に受け止める」と言いながら、「普天間飛行場の危険除去のために辺野古移設(埋め立て工事)を進める」と繰り返すばかり。官房長官は「県民投票が行われる前に、埋め立て続行を決めていた」と開き直る。防衛大臣は「沖縄には沖縄の民主主義があり、国には国の民主主義がある」と沖縄差別を隠さない。

 ことは沖縄個別の問題ではない。「国には国の民主主義がある」との論理が通じるならば、道民が反対しようが、条例で規制しようが、「高レベル核廃棄物の最終処分場は宗谷管内幌延町につくる」と国が決めてしまえば、「北海道の民主主義」は無視されることになる。道民投票が実施され、道民の七二%が「反対」の意思を示しても、「結果は真摯に受け止める。国のエネルギー政策推進のために処分場建設工事を淡々と進める」となるのではないのか。集団的自衛権の行使についての解釈改憲の経過を見ても明らかなように、平気な顔をして「サギをカラスと言いくるめる」御仁である。危ない、危ない。辺野古の埋め立て、明日は我が身と受け止めなければ。この総理、四選を目論んでいるというではないか。枕はここまで。

 「オレもあきらめない。あきらめきれないよ」と読者でもある友人が言う。新庁舎の建設に伴い、解体が予定されている現赤レンガ庁舎のことである。彼と私のやり取りを再現してみよう。

  市議会で西川市長が「新庁舎の基本理念を断念した」と述べたそうじゃないか。

  代表質問で自民・市民会議の木下雅之議員が、新庁舎建設の基本設計案について、「昨秋の市長選の公約には(三期目を目指す二〇一四年の選挙公約にはあった)シビックセンターという文言がなくなっていた。先日の市政方針にもシビックセンターという文言はない。シビックセンター構想を断念したと受け止めていいのか」と質問したのに対して、西川市長が答えたという話だね。

  市長が「市民活動スペースを縮小するなど、私の当初思い描いた機能を全て盛り込むことはできず、その実現は難しい状況」だと認めたということは、新庁舎はシビックセンターにはならないんだろう?

  市長は、こうも言っている。「新庁舎の建設によって、市街地の魅力を向上させ、にぎわいの創出につなげて行くという考えは変わっていない」。シビックセンターという概念自体が、結局は良く分からないままだったんだけどね。

  お前のコラムに、現総合庁舎、愛称・赤レンガ庁舎を解体せずに、耐震改修を施して、内部を斬新なデザインにリニューアルし、二期棟の代わりに使ったらいい、と書いていたじゃないか。六十年の歴史がある建物だし、完成した当時、建築学会賞をもらった名建築だということで、建築家の間では相当知られているというじゃない。最近では北海道で唯一、公共建築として「ドコモモ・ジャパン一〇〇選」にも選ばれている。「シビックセンター」と呼ぶにふさわしいじゃない。

  もともと、「赤レンガ庁舎を活かしたシビックセンターを考える会」(代表・大矢二郎東海大学名誉教授)が提案していたんだよね。

  少なくても、もう一度、耐震診断をして、耐震改修をしたらどれくらいの費用が必要になるか、見積もりをしなければいけないよ。それもせずに解体するなんて、名建築に失礼だし、全国の建築家やデザイン業界の笑い物になるよ。

(工藤 稔)

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