自宅の隣のアパートでバングラデシュの青年三人が暮らしている。近くの建設関連の会社で技能実習生として働いているという。どうしてバングラデシュ人とわかったかというと、冬の間、三人でアパートの前の除雪をしているのを見て、「どこから来たの? 」と声を掛けて話を聞いたのだ。十代と二十代。日本に来て二年だそうだが、「雪は初めて」「冬はとても寒いです」などと、三人ともかなり上手に日本語を話した。

 先日の朝、畑でナスやらピーマンやらを収穫していたら、バングラ青年の一人が二階の窓から顔を出した。ピーマンを手に、「食べるかい? 」と聞いたら、「ハイ」という返事。急いで二階から下りてきた。ナスとピーマンと、ナンバンをプレゼントした。笑顔で、ちゃんと「ありがとうございます」とお礼を言った。

 先の参院選では「日本人ファースト」を掲げる新興政党が大幅に議席を伸ばした。選挙戦の最中、参政党の支持拡大が報じられたことなどから、「外国人政策」が選挙の争点の一つとして浮上。他政党も相次いで外国人対策を表明するなど「排外主義」が選挙戦のトレンドとなった感があった。

 これまでも韓国・朝鮮人や中国人に対して偏見や差別をあからさまに叫ぶ団体によるヘイトデモなどはあったが、例えば在日コリアンに偏見や差別意識を持っている人でも公の場で、大勢の人の前でそうしたことを語るのは自重されてきたと思う。それが今や、国政選挙の選挙運動の場で、国会に議席を持つ政党の候補者たちが堂々と、実態のない外国人への「優遇」や「特権」をあげつらって、排他的な発言を繰り返し外国人排斥を主張して、他の政党も追従し外国人への憎悪を煽るような言葉が拡散される。どう考えても尋常な情況ではない。

 一九九〇年代初頭のバブル経済崩壊後、労働法制の規制緩和が進み、パートや派遣など非正規で働く人が急増した。企業にとって有利なように制度が変えられた。雇用者に占める非正規労働者の比率は、一九八四年には一五・三%だったが、九三年には二割を、二〇〇三年には三割を超え、一五年には四割にも達した。この間、猛烈なスピードで正社員から非正社員への切り替えが進んだのだ。低賃金で働く人が生み出される社会構造となり、急速に経済的な格差が広がった。

 小泉純一郎政権による「働き方改革」に始まり、安倍晋三政権の「アベノミクス」に至る自民党政権が「格差社会」を出現させ、助長したのだ。

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(工藤 稔)

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