豊岡5ノ2ノ9・TEL33-7170

 松花堂弁当が大好きだ。この店のランチの一番人気は、その変型の引き出し弁当(千六百五十円)。

 手提げの箱が机上に置かれる。さて、中にはどんな料理が入っているのだろう。ワクワクしながら、引き出しを並べると…。刺身、ゴボウと牛肉のすき焼き、イクラと切干大根の酢の物、キノコ餡の茶碗蒸し、ふろふき大根、鯛飯など九品が彩りよく盛られている。

 ランチだからといって、まったく手を抜いていない。刺身は、奄美産本マグロと鯛の厚切り。茶碗蒸しの中には、大きなホタテが入っている。卵はすべて、下川町産の銘柄卵。キュウリの漬物まで、とにかく手がかかっている。取材に同行したカミさんは「なんという幸せ」。僕は「美味しい、これは美味しい」の連発。

 店主の藤井たけしさん(51)は、市内の寿司店、和食店などの修業を経て、この店を開店してからちょうど十年になる。店名は、月が満月になったり欠けたりするように、人間の人生も変わる。でも、いつでも食を楽しんでほしい、というような意味らしい。

 藤井さんは「普通に普通の仕事をしているだけ」と謙遜するが、ランチも含めて冷凍物は出来る限り使わない。食材を厳選し、工夫を凝らしているのが分かる。もう一品いただいた夜のメニューの飛竜頭(八百八十円)も、がんもどきの揚げ出しと言うにはあまりにも上品。ホタテ、甘海老、エノキ、豆腐を材料にしているそうだ。

 ランチは、天丼(八百五十円)、海鮮かき揚げ丼(千二百円)、天ぷら膳(千三百五十円)など。夜メニューは、おまかせ寿司(千八百五十円から)、増毛産甘海老お造り(八百八十円)など多彩。お勧めは、この店の味が存分に楽しめるコースのおまかせ(二千五百~四千円、プラス千五百円で飲み放題)だ。

 定休日は月曜、第三日曜日。営業時間は午前十一時三十分~午後二時、午後五時~十時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 お気に入りの店はたくさんあるけれど、ここはベスト3に入ります。いつ行っても、何を食べても、間違いなし。特に、ランチは毎回、何を食べようか迷ってしまう。

 引き出し弁当のクオリティーの高さは感激します。他の一品一品も手をかけて、家では出せない味です。注文する率が高いのは、海鮮かき揚げ丼。こんなにたくさん食べられないと思いながら、いつも完食。
 もう1つの楽しみはクッキーシュー。和食屋さんなのにと最初は驚いたけど、おいしいなんて次元じゃない…。

2019年10月14日号掲載