この欄で、数年前から何度かコンビニエンスストアについて書いた。コンビニ一店の一日の電気消費量が平均的な家庭の二カ月分に相当するということ、そして、私たちの社会の無節操なズルズル生活の象徴ではないか、などである。このところ、ようやく新聞紙上で「コンビニ深夜規制論広がる」などと報じられ始めた。論議の口火を切った形の京都市は、「コンビニ深夜営業の見直しや自動販売機の規制」を打ち出し、早ければ〇九年度から、業界に深夜営業の自粛を求めるという。京都市をはじめ全国の十の自治体で「検討中」、あるいは「検討予定」だと朝日新聞(六月三十日付朝刊一面)は伝えている。

仕事と趣味を兼ねた釣行で、深夜、車で走ることが少なからずある。特に道北地方の過疎の地域で目につくのが、お客ゼロのコンビニ。明るい店内で、暇な時間帯のお仕事マニュアルにあるのだろう、店員が一人で陳列棚の整頓などをしている。釣行のオジサンたちは、トイレを借りたお礼に、ガムやお茶などを買い込むのが常だが、どう見てもそんな売上げで採算が合うとは思えない。仮に、日中は押すな押すなとお客が詰めかけるほどの繁盛店だとしても、一日の半分の時間がこの閑古鳥状態では…と、他人事ながら心配になるほどだ。

七月三日付の朝日新聞「声」の欄に載った、横浜市のコンビニ経営者(46)の投稿の一部を紹介すると――

「店にとり深夜は売上げが少ないのに人件費や光熱費がかかる“厄介者”ですが、24時間営業が契約条件のため開けているところが多いのです。平均的な店の場合、深夜12時~朝6時の売上高は費用対効果の面で昼間と比べものにならず、時給1200円のバイトの給与で消えて、開けているだけ赤字の状態です。一方、本部は人件費や光熱費を負担せず、売上高でロイヤルティーを受け取る仕組みです。深夜の少ない金額も何千という数では巨額になり、個々の店が赤字でも痛みは感じません。…深夜営業をやめたい所は店を閉め、営業が成り立つ所は開ければいい。こんな簡単な選択も許されないのが、今のコンビニ店なのです。…」

抵抗は大きいだろう。雇用の面の貢献、また防犯の拠点になっている実態など、すでに業界の側から反発の動きがあるという。大いに議論すればいい。便利さの追求や大企業の論理が、いかにアホらしい巨大な無駄を生み、この国の驚くほど従順で、適応能力の高い無知な庶民を、エセ豊かな心情に陥れていることか。それがあぶり出されるくらい、議論すればいい。洞爺湖サミットのテーマは、なにせ、環境やら、温暖化だというのだから。少々長い枕は、ここまでにして。

一面の記事に関連して。道議会は六月二十八日、現在十四ある支庁を九つの総合振興局と、より規模の小さな五つの振興局に再編する条例案を可決した。来春四月から施行されるという。上川支庁は総合振興局になる。その役割は「地域の課題を一元的に把握して、経済活性化などの政策を総合的に立案、推進する」。現在の支庁よりも機能を充実させ、トップである局長は予算編成などにも関与できるよう、権限が強化されるという。旭川は、メデタシということか。

一方の振興局は、規模を縮小し、総合振興局の出先機関に格下げとなり、予算や職員数は四割減となる。札幌市の石狩振興局は別にして、根室(根室市)、日高(浦河町)、檜山(江差町)、身近な地では留萌(留萌市)も、格下げの対象だ。

この再編により、人も、文化も、資本も、情報も、札幌への一極集中の流れはますます加速し、それでなくても厳しい地域の経済は大打撃を被り、捨てられた地方との格差は隠しようもないほど広がるだろう。私たちの北海道が、財政危機を回避するとの理由で選択した支庁の再編策。

思う。大胆なスリム化・効率化を進めるための優先順位として、本当に支庁再編がトップバッターで良いのだろうか、と。この条例案を可決した道議会の議員は百五人。そのボーナスを含む報酬と、政務調査費と呼ばれる第二の報酬を合わせると千九百万円もの税金が支払われている。さらに、別途、費用弁償という名の「日当」がプラスされる。おまけに、任期の四年のうちには、百二十万円を使って海外視察のスペシャルサービスまで用意されているじゃないのさ。道民に痛みを負担させる前に、この百五人の先生たちの、お手盛りの既得権を削るのが先ではないのか。

ここで読者に質問です。旭川市からは六人の道議会議員が選出されていますが、その名前を答えてくださーい。名字だけで結構です。さて、全員正解できる方は、何%いますか――。

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