三月二十日、札幌で開かれた北海道淡水魚保護フォーラムに行ってきた。主催する北海道淡水魚保護ネットワーク(代表・帰山雅秀北大大学院水産科学研究院教授)は北海道に関わりを持つ魚類の研究者やジャーナリストでつくる非営利団体。二〇〇一年に結成され、これまでに「ちょっと待った! その移植放流―生物多様性への功罪」(二〇〇二年)、「なぜ川の自然と淡水魚を守らなければならないの?」(二〇〇五年)、「川底からの河川再生―もうひとつの川の流れ」(二〇一一年)などをテーマに、道内各地で十二回のフォーラムを開催している。

 今回のテーマは、「ダムによる河川生態系への影響」。本欄で幾度も取り上げてきた、天塩川上流域の支流、サンル川で建設が進むサンルダムも主要なテーマになると聞き、出かけたのだった。自然保護運動とは一線を画すこの団体が、ダムについて具体的に踏み込むテーマを掲げるのは初めてだという。

 コーディネーターは、サンルダムの建設を承認する結論を出した天塩川流域委員会で委員を務めた前川光司・北大名誉教授。イントロダクションとして「サンルダムによって『サクラマスとカワシンジュガイがどうなるか』という科学的予測が一切出されないまま、本体工事の継続が決まってしまった。こうした科学的事実に基づいて議論をしない行政機関は問題だが、そうであるからこそ、今は環境保全とダムの関係に関して科学的事実や予測をできる限り洗い出し、それを公表し、河川とどう向き合い、将来の河川行政をどう進めていけばいいのかを考えていく機会が必要ではないか」との主旨を述べてフォーラムは始まった。紙数の関係で講師と演題だけを記す。

(工藤 稔)

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