父親が国鉄(現JR)に勤めていたから、線路や汽車・電車に対する心情は、他の人とちょっと違う。国鉄が分割・民営化されて全国に地域別の六つの旅客鉄道会社と一つの貨物鉄道会社が誕生したのは一九八七年(昭和六十二年)のこと。その過程で、猛烈な「国鉄職員たたき」が巻き起こったと記憶する。「勤務時間にのんびり風呂に入っている」「本人はおろか、家族までタダで乗車してる」等々。確かに非難されるべき点も、その通り多々あったのだろうが、その実は、分割民営化に向けた「宣伝工作」の一環だったろう。国民の意識を「そんな国鉄ぶっ潰してしまえ」へ誘導するプロパガンダとして使われたのだ。

 一分も遅れることなく安全に汽車を走らせる、一途にそれだけを考えて仕事をする父親を見て育った身としては、ものすごく真面目な国鉄マンが、後ろ指を指される国鉄マンと少なくても同じ数だけいたであろうと信じる。

 そんな身内意識からだけではなく、六月二十八日付の各紙が報じた「JR北海道 留萌線の廃止検討 沿線自治体と協議へ」なんて記事を読ませられると、哀しいでもない、悔しいでもない、怒りとも違う、複雑な気持ちが体の中から湧き起こる。

 毎日新聞を引用しよう。

 ――JR北海道が留萌線(深川―増毛、66・8㌔)の廃止を検討し、一部の沿線自治体に伝えていたことが27日、分かった。同線のうち留萌―増毛間は2018年度までに廃止したい考えで、今後は各自治体と設置する協議会で代替交通手段などについて議論し、合意を目指すという。(中略)

(工藤 稔)

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