テレビも新聞も、大騒ぎだ。テレビのニュースは、沖縄県東村高江で、米軍演習場のヘリパット建設が再開され、反対する村人らが本土から派遣された機動隊に殴られ、引きずられている映像を短くカットして、「ポケモンGО」のバカ騒ぎを丁寧に伝える。いわく、スマホを手に、ポケモンを捕まえようと外出する人が増えるため、経済活性化につながるとの期待もある。

 口あんぐりの家人。「経済って言葉の意味、分かってんのかしら。スマホ見ながら、ポケモン探して、ノロノロ歩き回って、周りに迷惑かけて、それのどこが経世済民につながるっていうの…。愚民化教育の成果、ここに極まれりね」とテレビのスイッチをブチッと切った。

 いい年をした大人が、子どもと同じゲームに熱狂する。私たち夫婦には、まるで理解不能の風景だ。まあ、米国だけじゃなくて、韓国でもバカ騒ぎが始まっていると報じられているから、地球規模で幼児化が進行しているということなのか。それとも、高度に計算された、人為的なゲームに我を忘れて没頭できる程度に、人類の未来はバラ色だということなのかしら。世界から届く血なまぐさいニュースからは、とてもそうは思えないのだけれど。

 もしかして、日本が結果的に国を亡ぼすことになる戦争に突き進む少し前、大正から昭和のはじめにかけて、エログロナンセンスに浮かれ騒いだ時代の再来ではあるまいな。まして「日本を取り戻す」と叫んで国粋主義をあおる、反知性を誇るご仁が権力を握っているし。ちょっと怖くなったりする。枕はここまで。

 友人でもある読者からメールが届いた。ちょっと過激な言葉もあるが、紹介しよう。

 ――このところずいぶん市役所の新庁舎建設について書いていますね。うなずいたり、ちょっとどうかな、と思ったりして読んでいます。そこで、僕なりに考える市庁舎論というか、行政の在り方というか、参考までにちょっと書いてみます。

 六月十四日付貴紙の直言に、旭川市が行ったアンケートについて書いていました。それによると、無作為に選んだ十八歳以上の市民に庁舎建設についてのアンケートを送り、返って来たのは四〇%。そのうち約七割の人が、誘導的質問に見事に引っ掛かって、「現総合庁舎を取り壊して、敷地を有効活用する」という選択肢を選んだ、とありました。編集長は、「現庁舎に耐震補強工事を施したうえで保存活用」を選んだ人が一三・六%いたことを指摘して、この建物の「価値」なり「味」なりを丁寧に、時間をかけて説けば、市民の間に理解は広がるはずだ、と書いていました。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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