少し前にメールで届いた読者からの市役所新庁舎と市民文化会館建て替えについての「疑問」の要点を紹介しよう。六十代の男性である。

 ①「新庁舎を検討する過程で、規模がだんだん大きくなり、予算は大規模化して多額な借金を後世に残す計画」

 二〇一三年二月の「市役所内部の関係部長による庁舎整備検討委員会」の報告では、広さ延べ二万五千㎡、建設費の試算額九十七・五億円。

 二〇一六年三月の「旭川市新庁舎建設基本構想」では「社協や商工会議所」等を追加して、面積と予算が増加。広さ延べ三万㎡、建設、解体、整備予算百二十億円。工事期間…新設工事三年、解体二年で合計五年。

 二〇一六年五月の「旭川市新庁舎建設基本計画骨子」では、市民文化会館の建て替えを組み込み、事業予算と工事期間が大幅に増加。新庁舎建設関連事業費約百五十億円、これに新文化会館建設費約百億円(なぜか明示されていないが)、新設までの改修維持費と解体費を合計すると少なくとも十億円以上。総事業費は二百六十億円以上になります(税込みで二百八十六億円以上)。

 現在の建設費は一㎡当たり四十万円で試算しているが、他都市の例と比較すると現時点で見積もり額が低く、今後の東京オリンピック資材費等の高騰を考慮すると三百億円以上になるのはほぼ確実。

 工事期間は九年、二期棟工事を入れると十一年。長期にわたる工事騒音、廃棄物や資材を運ぶ車による交通渋滞の長期化により、周辺住民や商業者だけでなく、市民の活動にも悪影響をおよぼします。

 ②「七条地下駐車場の解体により、市役所や市民文化会館の利用者の利便性が著しく低下、駐車場不足がいっそう深刻に」

 七条地下駐車場の解体も計画されています。この駐車場は市役所や文化会館に外に出ないで直接行けるので、利用率が高く、文化会館で催物がある場合はほぼ満車になります。無くなると雨や雪の日でも外を、しかも道路を渡った場所に車を止めなければなりません。また二百四十二台収容可能な駐車場が無くなることは、第三庁舎の跡地を駐車場にしても約百二十台分増加にとどまり、市役所や市民文化会館周辺の総駐車台数が百台以上減ります。

 ③「二一世紀は『資産、資源を再活用し、歴史をつなぐ』時代」

 これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄により、人も地球も世界規模で危機に直面しています。また再開発という言葉で古い建物は壊し、新しく建て直すことが全国各地で行われてきましたが、最近は、歴史的な建物は勿論、年数を経た建物や施設についてもきちんと調査し、整備して再活用することが当たり前になってきました。耐震強化やリニューアルの技術も格段に向上してきています。再活用することは歴史をつなぐことであり、資源と経費の節減、環境を守ることにつながります。(引用終わり)

 小欄を含めて、あさひかわ新聞は一貫して新庁舎建設・現庁舎解体と、まさしく泥縄式に突如として発表された市民文化会館の建て替え計画について、「なぜ、そんなに急ぐのか」「行政手続として不自然ではないか」との論調で報じ、伝えて来た。そんな一連の報道が功を奏した面もあるのだろう、六日開かれた市議会決算審査特別委員会で、能登谷繁議員(共産党)は次のように質問した。

 ――基本設計での経費や市民の協力も無駄にし、財政的な裏付けもない。市民文化会館の建て替えについて、立ち止まって考えるべきではないか。

 以下、西川市長の答弁。

 

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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