十月三十一日に行われた衆院選挙について、ずーっとモヤモヤしたものが頭の片隅に澱んでいる。

 前川喜平・元文科事務次官が、選挙の後、「政治家には言えないから僕が言うが、日本の有権者はかなり愚かだ」とツイートし、批判を浴びたなどと報じられたりもした。立憲民主党と共産党の共闘に対する揶揄(やゆ)も少なからず耳にする。モヤモヤ感は時を経るごとに強くなる…。

 そんな今日この頃、新聞ってやっぱりすごい、と強く見直す記事を読んだ。二十四日付毎日新聞のオピニオン面「衆院選を振り返る」。テレビで顔を見たことがある政治アナリストの伊藤敦夫さん、早稲田大学准教授の遠藤昌久さん、『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた』(左右社・二〇二一年)の著者・和田静香さんの三人が、それぞれの視点で今回の衆院選について語っている。

 伊藤さんは、自民党自身の開票直前の予測は「二百三十前半から後半」だったと明かす。以下、要旨を引用する。

 ――(前略)二百六十一という絶対安定多数確保には自民自身が驚いたのではないか。

 結果的には、ほとんどの激戦区で自民が勝った。勝負を決めるのは最後の三日間だ。三日間で、どっちがエネルギーを燃焼し切れるかだ。エネルギーの燃焼に必要なのは、足腰の部分である長年培ってきた組織や支持者・団体とのつながりの強さだ。

 ――報道各社の事前の調査で自民が過半数ギリギリと伝えられたことで、政治の不安定化を嫌う意識が生じた。その結果、自民に対しては珍しいことだが、判官びいき的な「アンダードッグ効果」が働いた気がする。

 ――共産党との共闘関係が前面に出すぎたことが一つあるだろう。政策協定とか、政権を取った時に閣外協力をするとかしないとか、明らかに踏み込みすぎた。「立憲共産党」というネガティブキャンペーンが効いて、自民には入れたくない保守中道的な票が逃げた。この票が主に維新に行き、まだ「全国銘柄」になりきっていなかった維新が比例で公明党を上回る八百万票も取った。(引用終わり)

(工藤 稔)

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