今号一面にあるように、今津寛介市長の人事をめぐる動きが議会の混迷を招いている。報道で知らされる市民からは、「先に議会に相談しないのは議会軽視だと言うのはおかしいのではないか」「市長が推す副市長で良いか、悪いか、多数決でいいじゃないか」との声も聞かれる。

 議員は選挙で選ばれた市民の代表で、行政をチェックするのは議員の大事な役割という意味で、議会の承認が必要な特別職の人事について、事前に議会に相談するという慣例は理解できる。それを「根回しだ」と批判するのも分かる。要は、市民のためになる施策が、公平に行われるように、行政と議会が定めてきた一定のルール、慣行を市長サイドが逸脱した、軽視した、ということだろう。それに報道が油を注いだ。はっきり言えば混乱を助長した。分かりやすく説明しよう。

 二月二十五日付北海道新聞朝刊、旭川・上川面に小さな記事が載った。「旭川副市長人事案 市議会採決見送り」の一段見出し、いわゆる「ベタ記事」である。以下、全文。

 ――旭川市議会は24日に開かれた全5会派の会長会議で、表憲章前副市長の後任に中村寧(やすし)子育て支援部長を充てる人事案について、25日の本会議で採決する方針を見送った。表氏以外の特別職の後任人事案が報道されたことに関し、議会側に事前に説明がなかったとして、近く今津寛介市長に理由を尋ねることを決めた。

 新年度予算案を審議する予算等審査特別委員会は3月8~23日にあり、二つの分科会に副市長2人が責任者として出席するのが慣例。中村氏の副市長人事案は本会議でしか提出できず、日程は同3、4日の代表質問や同7、8日の大綱質疑に限られる。(引用終わり)

 この記事中の「表氏以外の特別職の後任人事案が報道されたことに関し」の表現は、正確ではない。言葉を補って正しく書くとすれば、「北海道新聞が、表氏以外の特別職の後任人事案をこの時点で報道したため」であろう。

 この二日前、二十三日付北海道新聞は、同じ面に「副市長に菅野氏起用へ」「旭川市人事案 若手登用 一部市議反発」の三段見出しを立てて、次のように報じている。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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