岸田首相が低迷する支持率の画期的回復を目論んで突然言い出した「異次元の少子化対策」って、このキャッチフレーズがそもそも信用できない。「異次元の」って、暗殺された安倍晋三が好んで使ったんじゃなかったか? 「異次元の金融緩和」。遠い昔に思えるが、つい五、六年前まで、口からでまかせ、ウソ半分の話をペラペラくっちゃべっていたじゃないか。

 岸田首相は一月四日の年頭会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べた。その方策として「仕事と育児を両立する女性の働き方改革の推進」を挙げた。この時点で、全く期待できないと分かった。「挑戦」の意味は、「やるかどうか分からないよ」だ。そして少子化対策の肝は、「女性の働き方改革」だと。現実を知らないのだ。共働きの夫婦が子どもを持ったら何が必要か。しかもその財源は、雇用保険や医療保険の保険料を引き上げる方向で検討しているというではないの。自民党内からは「(将来の)消費税増税も含めて」議論するよう求める発言(五日、甘利明前幹事長)も出ているという。
 二十日付朝日新聞朝刊、「児童手当 政治が翻弄」の見出しの「時時刻刻」を引用すると。

 ――(前略)旧民主党政権(〇九~一二年)は、それまでの「児童手当」の代わりに、所得制限のない「子ども手当」の創設を看板政策に掲げた。〇九年のマニフェスト(政権公約)には月二万六千円の支給をうたった。

 「社会全体で子どもの育ちを支える考えを反映した政策だった」。元厚生労働相の長妻昭氏はそう当時を振り返る。

 結局、財源を確保できず、子ども手当は半額の月一万三千円で始まった。(後略・引用終わり)

 恩恵を受けなかった方には、「政権交代なんて一つもいいことはなかった」と吐き捨てる向きもあるが、政権交代は間違いなく、あった方がいい。久しぶりの枕はここまでにして。

 前号の小欄で、手術後の譫妄(せんもう)について「この二回目の手術の後くらいから、私の『譫妄症状』が始まっていたのだと思う」と書いた。
 読んでくれた何人かの方とお会いした折に、「今も、その譫妄症状は続いているの?」「具体的に、どんな幻覚や妄想を体験したんですか?」と質問された。

 もしかすると、こんな何の意味もない話を「面白い」と感じる向きもあるかも知れない、ちょっと書いてみよう。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。