以下、日刊ゲンダイデジタル、二十四日配信の「年金」についての記事である。
 ――値上げラッシュが続く中、年金生活者には過酷な一年になりそうだ。年金支給額が物価や賃金の上昇率より大幅に引き下げられるからだ。岸田首相は今月四日の年頭会見で「インフレ率を超える賃上げの実現」を訴えていたが、高齢者の賃金とも言える「年金」は別のようだ。

 年金額は六十八歳以上が前年の物価変動率(二二年は二・五%)、六十七歳以下が過去三年間の賃金変動率(一九~二一年度平均は二・八%)に基づき、決定される。

 ところが、岸田政権は両上昇率より年金額を低く抑える「マクロ経済スライド」を発動。二三年度の年金額は本来の上昇率より〇・六%引き下げられ、六十八歳以上は一・九%増、六十七歳以下は二・二%増にとどまる。実質「目減り」である。(中略)

 東京商工リサーチによると、今年予定されている食品値上げはすでに一万品を超える。こんな状況での年金目減りは痛すぎる。

 「賃上げを強調しながら、年金の目減りは平気でやる。高齢者に冷淡な岸田首相の姿勢がよく表れています。年金の問題は高齢者だけでなく、現役世代にとっても、将来自分に降りかかる問題です。マクロ経済スライドはインフレでは国民をいっそう苦しめることがわかりました。国民的議論が必要です」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)

 フランスでは年金の支給開始年齢引き上げなど年金改革案に国民が猛反発。十九日に全土で行われたデモの参加者は百十二万人に上った。日本国民も怒った方がいい。(引用終わり)

 ここで言うフランスの「年金改革案」の柱は、年金の受給開始年齢を現行の六十二歳から六十四歳に引き上げる、というものだ。私たちの国は、現行「原則六十五歳、六十歳から七十歳までの選択」という制度を「七十五歳までの選択」に改悪しようと目論んでいる。暗殺された安倍元首相がしたり顔で「人生一〇〇年時代」「生涯現役社会」「七十歳までの就業機会は多様な選択肢で」と彼が言うところの「全世代型の社会保障制度」についてペラペラしゃべくるニュースの映像を忘れない。 七十歳を過ぎても労働意欲にあふれる方がいらっしゃるのは事実だ。私の周りにも、身体的にも若々しく、頭脳も明晰な八十歳代の経営者が何人かいる。かなわないな、と思う。だが彼らは特別なのだ。体力も精神も、個人差がある。飯が食えないから仕事を続けざるを得ない、退職できない、という高齢者の方が圧倒的に多いのだ。国民は「生涯現役」、「多様な選択肢」などの美辞麗句、甘言蜜語のカムフラージュに騙されているのかね。それとも騙されているフリをしているのかね。いつか、本気で怒る場面を見られるのかね。

 昨年末、読者から「バカみたい」のタイトルのメールが届いた。七十歳代の男性である。メールには、十二月二十七日更新の「どうしん電子版」の記事が添付されてて、送信者の「市長の釈明のために書いた記事なのでしょうか、程度の低さビックリですね。市民を舐めとるとしか思えない」のコメント。記事の見出しは「スタルヒン球場の芝損傷、雨天が要因 旭川市長が認識示す」。市政担当記者の署名記事である。引用しよう。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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