旭川の飲食店も舞台になったことがあるテレビドラマ『孤独のグルメ』で主演する俳優の松重豊が、雑誌「クロワッサン」に連載してるエッセイ「食べるノヲト」が本になった。で、毎号の松重のエッセイのイラストを描いている、旭川のイラストレーター・あべみちこの原画パネル展が、市内の書店・コーチャンフォーで開催されているというので、その情報がほしくて、ネットをウロウロしていたら、朝日デジタルの記事にぶつかった。タイトルは「松重豊さん語る ガリッガリの腹とロック 思わず号泣した声欄の投稿」。昨年六月八日に配信された高橋純子編集委員の記事である。朝日の「声」欄に掲載された「今も聞こえる ロックじゃねえ!」と題する、大学生からの投稿を読んだ松重さんが、ラジオ番組の中で「号泣した」と語っていた、という逸話について高橋記者が松重にインタビューしている。まず、二〇二四年一月十三日の「声」欄の投稿をそのまま引用しよう。
――今も聞こえる ロックじゃねえ! 大学生 森川葉の音(東京都)
小学校を卒業して十年近いが、今も時折「ロックじゃねえ!」というしゃがれ声を思い出す。ロックミュージックが好きで、エレキギターを抱えて教室に来ることもあった、六年生の時の担任だった先生の声だ。
その先生は、よく怒った。眼鏡もスーツも平凡だったけれど、全力で怒る姿も、怒る基準も、他の先生と違った。宿題を忘れても怒らなかったが、うそをついて言い訳をすると怒った。掃除中に過ってガラスを割っても怒らなかったが、それを黙っていると怒った。怒りが頂点に達した合図が「ロックじゃねえ!」だ。
先生の叫んだ「ロック」は、この場合は、音楽ではなく、正直さとか、揺るぎのなさとか、そういう意味だったと思う。昔も今も、私は「ロック」になりたいと思わない。だけど、自分の信念に反したことをしてしまった時、逆に何も出来なかった時「ロックじゃねえ!」という先生のしゃがれ声が聞こえる。(引用終わり)
俳優松重豊は、長崎市で生まれてすぐに福岡市へ移住し、小学三年の頃に大分県に移り住んだそうな。記事の中の松重の印象的な言葉を拾ってみよう。
(工藤 稔)
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