豊岡9ノ5ノ3・TEL32―8001

 そば屋のかつ丼とかカレーって、けっこう美味しい。和風のそば出汁が、きっと口に合うのだろう。それにしても、まさかラーメンを出す店もあったとは。

 店主の木村秀俊さん(62)によると、きっかけはこうだ。昨年、開店七周年の記念になにか新しいメニューをと考えていたが、そばのメニューはもうこれ以上いらない。そこで、思い切り変化球で行こうと、醤油ラーメン(七百五十円)を登場させることにした。

 試行錯誤の末に、そばの出汁で使うカツオの二番出汁を二晩干し、これに豚骨、親鳥、香味野菜、昆布などを加えてスープが完成した。評判は上々で、これを目当てに訪れる客も多くなったという。

 早速、いただいてみた。スープを一口すすった途端、驚いた。なんと滋味深く、やさしい味。これは美味しい。麺の上には、手作りのチャーシューと海苔、ネギとシンプル。これが、かえってスープの味を引き立てている。ラーメンが、そばから主役の座を奪わないのだろうか。ちょっと心配になったが、そばはそばで熱烈なファンがいるらしい。

 木村さんは、市内のレストランやホテルで調理長として活躍し、この店で独立した。和洋中なんでもござれで、メニューの充実度はすごい。試しに、生ちらしとエビ天そばセット(千五百円)もいただいた。そばには、巨大なえび天がドーンと載っている。生ちらしには、マグロ、白身(カラスガレイ、銀カレイ)、サーモンなどとともに、やはり大きなボタンエビ。この充実ぶり。特に、エビが大好きな人にはたまらないだろう。

 そば屋のカツ丼(九百五十円)、カツカレー(千三十円)もちゃんとある。夜になると、さらにたくさんの居酒屋メニューが加わるらしい。すべてを一人で調理する木村さんの腕前には脱帽だ。

 定休日は水曜日の夜と木曜日。営業時間は、昼が午前十一時~午後三時、夜が午後五時三十分~十時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 どうしてもラーメンが食べたかったある日。行こうと思っていたお店が休みだったり、臨時休業だったり。お腹がすき過ぎて、ちょうど通りかかったお蕎麦屋さんに入った。お蕎麦と天丼のセットにしようかと思ってメニューを見たら、何とラーメンがあるではないか。お蕎麦屋さんのラーメンは美味しい。食べると、やっぱり大正解。お蕎麦の出汁をとったカツオ節を使っているらしい。肝心のお蕎麦も、友達のを食べさせてもらったら、特につゆがいい。天ぷらのエビのプリプリ感もたまらない。

2020年03月31日号掲載