宮下通7 駅前ビル1F・TEL22-3884

 そば屋のカツ丼やカレーは、どうしておいしいのだろう。本家本元のそばと肩を並べるぐらい、人気の店も多い。ここもその一店。

 店主の稲船正光さん(59)によると、それは「だしが決め手」。店のそばつゆは、本鰹の香りを重視し、さらにコクを出すため鯖と宗田の二種の削り節をブレンドしている。このだしと寝かせたかえしを、丼物やカレーにも惜しげなく使っているのだ。

 店は一九六九年(昭和四十四年)、八条はま長で修業した稲船さんの父親が、駅前商場市場で創業。三年後に市場が取り壊され、新築された現在の駅前ビルに入居した。「先代からは、うちのだしを使えば、丼物ならどんなものでもおいしい。絶対に味を変えるな、と言われ続けました」と稲船さん。

 早速、カツカレー(八百三十円)をいただいた。だしが効いた和風のルーがたっぷりと盛られ、コクがあり、後から辛さがじわっと来る。食べた誰もが「普通のカレーと違う」と口をそろえるというのもわかる。ルーの中には、大きなジャガイモやニンジン、豚肉がごろごろ。これにサクサクしたカツが加わるのだから大満足。

 続いて冬に人気のカレーそば(七百八十円)。やはりだしが効いたスープとそばがからみあう。具は鳥もも肉とタマネギだけで、このシンプルさもおいしい秘訣だ。スープを飲み干す人も多いという。

 メニューは百種以上あり、どれもこれもボリュームたっぷりで安い。一番人気は、三年前から始めた「そば屋のおいしい本日のランチ」(六百円)。そばと丼の組み合わせの日替わりで、客が飽きないようにと揚げ玉の卵とじ丼、豚バラ丼など、定番ではないものも工夫しながら出している。

 平成も終わろうというのに、どことなく懐かしい昭和の面影が色濃い駅前ビル内。高齢で店を閉める例が相次いでいるが、何とか長く続いてほしい。

 定休日は第二、四水曜日。営業時間は午前十一時~午後七時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 おそば屋さんの前を通ると、かつおだしのいい匂いがして、思わず立ち止まることがある。

 ここは本当においしい。おそばはもちろんだけど、私はカツ丼が大好き。カツ丼なのに、運ばれてくると、だしの匂いが鼻を直撃。味つけに、かえしを使っているらしい。だから、しっかりと味がついているのに、くどくない。

 この前は、お昼にお店の前を通ったら、その日のランチがカレーとそばだった。おそば屋さんのカレーって…。誘惑に勝てず、一人で入ってしまった。お腹いっぱいで大満足。

2019年02月11日号掲載