4ノ8、十字屋ビル1F・TEL25―8222

 日本酒、焼酎などの和酒は大好き。でも、立飲みまでしたくない。ずっと、そう思ってきた。だいたい、いくら安くても通行人に見られながら飲むなんて、格好悪い。ところが、七月にオープンしたこの店は異次元の世界だった。

 まず、国内各地から取り寄せた選りすぐりの和酒二百種類が並んだ酒店がお洒落。立飲み店は、店の奥からほのかな灯りに照らされた通路を歩いた先にあった。入って驚いた。アンティークな建具や食器棚がふんだんに使われ、まるで隠れ家的な高級バーだ。カウンターは、幅が一㍍以上もあるヒノキ。僕の抱いていた立飲みのイメージなどどこにもない。

 「旭川にないような雰囲気を目指し、東京のデザイナーに任せて作りました。現代版角内(酒屋での立飲み)で、日本酒をもっと気軽に飲んでほしいと、一年半前から構想を練ってきました」と、オーナーで酒類販売店社長の上田桂輔さん(35)。

 カウンターの後ろのケースに並ぶ和酒は約五十種類で、日本酒は一杯三百八十円から。上田さんのお薦めは、本日の蒸し燗(五百八十円)。兆子をセイロで蒸して熱燗にする。ここ数年、一部の蔵元で推奨している飲み方なのだとか。酒の風味や香り、味わいが最大限に引き出されるという。取材中だけど、好奇心やまず飲んでみたら、たしかにまろやか。

 つまみも手を抜いていない。旭川鶏卵うまたま(二百八十円)、ホタテと昆布だしだけで炊き上げたおでん(二百八十円から)、サワダのお漬物盛り合わせ(四百八十円)など道産、旭川産の和酒に合う珍味がそろっている。

 旭川のものという酒器がまたいい。「観光客だけでなく市民にも旭川の魅力を発信していきたい。まずは、うちでゼロ次会を」と上田さん。こんな素敵な店で、昼から飲めるなんて夢のようだ。

 無休。営業時間は午後二時(酒店は午前十一時)~午後八時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 買物公園にオープンして、気になって仕方なかった。でも、お酒が飲めない私に日本酒のお店は…と思っていたら、麹の甘酒もあると聞いて行ってみた。

 立ち飲みというので、外から見えるところで飲むのかと思っていたら違った。細い廊下を通って奥に入っていく。

 「すごい」と、思わず声を上げてしまった。おいしいお酒が、さらにおいしくなる。午後2時からやっているので、ちょっと寄ってという人も増えているらしい。とにかく、行ってみてください。

2019年09月17日号掲載