新富2ノ1、中華そば 富いち内・TEL090-8274-9886

 オッ! ラーメン屋なのに、ピアノトリオのジャズが軽快に流れている。エッ! ラーメン屋なのに、ラーメンがない。あるのは、本日のランチプレート(限定十五食、千百円)のみ…。

 

 厨房に立っていたのは、居酒屋ダイニング「ポシェ」(二ノ七、ヨシタケビル二号館一階、TEL74―3890)のオーナーシェフ佐々木篤さん(49)。聞けば、三・六街は新型コロナのため客足が昨年から激減。佐々木さんの店も例外ではない。でも、ビルの中の狭い店とあって換気も十分にできず、事前予約のみ、一日三組限定でなんとか営業しているそう。

 そんな中、旧知の中華そば「富いち」の店主から「うちの店の定休日に店を貸して、三・六街を応援したい」との申し出があったとのこと。そこで佐々木さんが、店の味を三・六街に来なくても味わってもらおうと、二月から週一回の出張サービスを始めた。

 出張ランチと言っても、フレンチ・イタリアンなどを修業した佐々木さんが作るワンプレートは本格派。訪れた週は、寒締めホウレン草とベーコンソテー、新タマネギのかき揚げ、マスの味噌マヨ焼き、だし巻き卵、タコとナスのトマト焼き、手羽中の甘辛焼き、チーズ包み揚げ、ニラ卵、バチマグロのブルスケッタ、ミニ杏仁豆富、ズワイガニ足の、なんと十一品のおかずに、黒米入りご飯、野菜と鳥団子の洋風味噌汁、ミックスハーブティーが並んだ。

 身の回りにある食材だけれど、手間をかけているので一味も二味も違う美味しさ。うーん、このプレート一皿があれば日本酒三合はいけるな。思わず口に出てしまった。こんなの食べたら、今度は夜にポシェを訪れざるを得ない。本が大好きで、中でも建築関連の本に目がないという佐々木さん。元ミュージシャンでジャズも好きだそう。おお、趣味も僕とぴったりだ。

 出張ランチは、毎週水曜日の午前十一時三十分~午後三時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 ラーメン屋さんが毎週水曜日のお昼に、洋食屋さんになる。料理も美味しく、居心地もいいので、おばさん友達と利用する。

 ランチもあればいいなと思っていたので、グッドタイミング。ランチプレートがすごい。こういう風に、10種類もあるおかずが少しずつ食べられるというのがいい。使っているのは、私もいつも使っている素材だけれど、一味違う。

 この日、特に美味しかったのは、サツマイモのハニーマスタード、ナスのボロネーゼ。次は何が登場するのか、とても楽しみ。

2021年03月23日号掲載