読者から、いま日本中を騒がせている中国製冷凍餃子(ぎょうざ)に関するメールが届いた。まずは、添付されていた、中学校から「給食センター所長」名で保護者に届けられた「給食メニューの変更について」の文書の抜粋を。

――さて、先日より新聞報道等で問題になっている、中国製冷凍餃子による中毒の発生について、当給食センターでは、ジェイティーフーズの餃子及び各メーカーで自主回収をしている商品については一切使用していませんのでご安心してください。

なお、二月七日、十五日のメニューにギョーザがありますので、児童・生徒の心境を考えメニューを変更することにしましたので、ご理解を頂きたいと存じます。学校給食の食材について充分に確認してまいりますのでよろしくお願い致します。

次は、保護者でもある読者からのメール。学校名は伏せる。

――○○の小中学校で添付したようなプリントが配られました。なんとも納得ゆかず、腹立たしく、小学校と中学校の教頭と校長へ話をしに行きました。

今回の出来事で、冷凍食品を使う母親が減るかもしれないであろう事、中国や日本が農薬等食物の安全性により多くの関心を払う事、そして日本の自給率の低さの問題の解決につながってゆくかも知れない事等、プラスの面も期待できることは喜ばしいと思っています。

しかし、今回の事件を受けて学校が給食のメニューから「餃子」を排除することで何らかの対策をとった気になるとすれば、それは明らかに過剰反応で間違いであると思うのです。

これまで、「カイワレ」が悪者にされた例をあげるまでもなく、食の問題が起きる度に、なにもかも一緒くたにして悪者を作ることでまじめに食品を作ってきた人たちが被害を受ける例は山のようにあります。

単に「餃子のメニューを変更する」ことは食の安全という意味では、なんら科学的根拠がなく、「餃子は危ない」といった間違った風潮が広がることに加担することになると思います。

この文書で、「ご安心してください」と言っておきながら、その後、「児童生徒の心境を考えメニューを変更することにした」という「児童生徒の心境」とはいったい何なのでしょうか。「こんなご時世に餃子を出すなんて」と言ってくるかもしれない親の心境を考えたのかもしれません。

もしそうなら、そういう親にきちっと説明、対応することの方がもっと大事な事と思われます。「こどもの心境」という分かったような分からないような理由をつけるいやらしさを私は感じます。

食に関して何が安全で、何が危険か分からなくなっているこの時代に、それに対応するためには、一人ひとりがその判断力を磨き、身につけて行くしかないのだと思います。「食育」の重要性が語られる今、給食という現場でこういった事が行われることに悲しみを感じます。

今回の対応で、子ども達が「餃子はなんか危ないからメニュー変ったんだ」という印象を受けたんだとしたら、そういった安全への意識は全く間違いだと言ってよいと思うのです。「メニューを変えて安心を手に入れた気になる。何か対策をとった気になる」というのはあまりに安易で短絡的だと思います。

変な自主規制がどんどん世の中を息苦しくして行く風潮に、いらだたしさを覚えています。そして今回の給食におけるこういった安易な対応がその象徴のように思え、見過ごせなくなってしまいました。

居ても立ってもいられず、小、中学校の先生と話をしました。私の言いたいことには理解を示してはもらえましたが、気になったのは「この文書は給食センターから来たもので、それを配ったものです」的な発言でした。学校の現場と給食は「生活、教育の大事さ」といったものから考えると、もっと密接にかかわっているものだと私は思い込んでいましたが、そうではないみたいだということが分かりました。先生達がこの文書になんら違和感を感じなかったとしたら、それは本当に悲しいことだと感じました。

この読者が、私の書くべきほとんど全てを代弁してくれています。「お前、今週は随分手を抜いてくれたな」とのお叱りを承知で、ここまでということに――。

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