東京都の舛添要一知事に対する批判報道が続く。確かに、公用車で毎週末、湯河原の別荘に通うとか、政治資金で美術品や「クレヨンしんちゃん」の漫画本を買ったとか、家族旅行と政治活動をごちゃまぜにするとか、公私混同と言うか、セコイと言うか、呆れたり、笑っちゃったりするんだけれど、それでも、ここまでボコボコに叩かれなくてもいいような気もする。

 ちょっと調べてみると、知事追及の度を強めている都議会議員の先生たちの報酬は、地方議員の中では最高レベルだ。夏・冬二回のボーナスを含めた年収は約千七百万円。議会に出席すれば、二十三区選出の議員は一日一万円、都下選出の議員は一万二千円の費用弁償という名の「日当」がもらえる。旭川市議会では、市民から「第二の報酬だ」と批判を浴びて、十年以上も前に廃止された悪弊である。

 その上、都議一人あたり月額六十万円、年間七百二十万円の「政務活動費」が支給される。その政務活動費から支出される人件費は、その支出先も金額も非公開。身内を秘書に仕立てて給料を支払っても、分からない。こんなふざけた仕組みは、日本中で都議会だけだ。舛添知事が、家族で回転ずしを食った費用を政治資金で支払った道義的責任を追及する都議たちが、年間七百二十万円もの使途の一部を秘密にしたままって、それでいいんだべか。舛添知事を誕生させた自民党や公明党は、都民に謝らなくていいんだべか。枕は、ここまで。

 政府の地震調査委員会が十日、今後三十年以内に震度六弱以上の揺れが発生する確率を示す全国地震動予測地図の二〇一六年版を公表した。十一日付北海道新聞によると、今年一月一日現在の発生確率の数値で、公表されたのは都道府県庁と道内の総合振興局・振興局の所在地、計六十一カ所。

 見れば、旭川で十年以内に震度六弱以上の地震が起きる確率は、〇・三八%。なんと六十一カ所の中で、六十一番目。第一位の千葉市は八五%、道内最高の浦河町(日高)が六四%で七位、東京は十七位で四七%、五十八位の札幌で〇・九三。〇・三八というのは、震度六弱以上の地震が起きる確率は限りなくゼロに近い、ということだろう。

 しつこくも、今週もまた新市庁舎建設について書く。振り返れば、新たな市庁舎を建設しなければならない最大の根拠、理由は、耐震性だった。市政与党の市議の一人も、「市が一九九七年に行った耐震診断で、〇・〇〇四という数値が示された。この数値がなかったら、庁舎の建て替え論議がこれほど進展しなかったろう」と話す。特殊な手法を使って導き出された、このゼロが三つも並んだ数値が、「これって、そうとうヤバイじゃん」と思わせる。瞬間的に、感覚として。

(工藤 稔)

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