二〇一四年師走、低投票率を見込み、「消費税を据え置くことの是非を国民に問う」との理屈を付けてしゃにむに衆院選を解散した安倍晋三首相は、あの時、「再び延期することは絶対にない。断言します」と、例の舌足らずの口調で宣言したのね。声高らかに、自信たっぷりに。それが一年半後の今月一日、再び、消費税を一〇%に引き上げるのを二〇一九年十月まで延期する、と表明した。「これまでの約束とは異なる、新しい判断」なのだそうだ。車の中で、ラジオでその記者会見を聞いた。助手席の家人は、口あんぐり。「どこまで嘘つきなのかしら」。

 翌日の朝日新聞社会面に載った、社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」で安倍首相を演じる福本ヒデさんのコメントが面白かった。いわく、「公約違反との批判を見越し、『間違っていた』とか『実行できなかった』とかマイナスの言葉は使わない。『新しい判断』で何でも逃げられそうだから、はやるかも」。今年の流行語大賞の有力候補だろう。枕は、ここまで。

 友人でもある読者からメールが届いた。以下、そのさわり。

 ――今朝(五月三十一日)の道新を見て驚きました。「現庁舎解体し文化会館新築」「西川市長、建て替えの意向表明」とありました。道新も、あさひかわ新聞も、これまで文化会館の建て替えについて記事にしたことがありましたか? 僕は記憶がありません。ひよっとして、市議会の質疑の記事にちらっと出てきたかもしれませんが、新市庁舎の建て替え論議の中では、文化会館をどうするかなんて話は聞いたことがありません。フィールで開かれた市民説明会でも、そんな話は一切出なかったと思います。少し前に道新が、新庁舎の建設場所が文化会館と現庁舎の間の広場に決まったと書いていたけど、その記事でも文化会館の建て替えについての話はありませんでしたよね。何だか、「後出しじゃんけん」みたいで、私たちはなめられているんじゃないかと腹が立ったのでメールしました。お役人って、自分の懐が痛まないのと、新しいものを造るのが仕事だと思い込んでいるから、古いものは壊して、新しく建てた方が絶対にいいって、そうなるんだよね。現赤レンガ庁舎、建て替え論議が出てから改めて眺めてみると、味があって、いい建物だと見直しました。これを壊しちゃうのは、世間に顔向けできない、恥ずかしい、そう思います。直言に「市民の文化度が問われている」とありましたが、本当にそうですね。(引用終わり)

 二面の記事にある通り、市は三日夜に開かれた市庁舎整備検討審議会に「基本計画の骨子」を示した。この日は、骨子の内容について具体的な議論はなかったが、審議会の委員の一人、大矢二郎・東海大学名誉教授が次のように発言した。

 ――この骨子は、現庁舎を解体するという前提だ。ところが旭川市の第八次総合計画には、「都市づくりの基本方策」として、「少子高齢化・人口減少や社会資本の老朽化が進む中、将来世代へ健全な資産として引き継ぐため、五十年、百年先の都市の在り方を見据え、『造る』から『保全・活用』への転換を図ります」とある。新庁舎を建設した後に、現庁舎を解体するというのでは、総合計画と整合性が取れないではないか。

 

(工藤 稔)

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