畑の仕事が始まった。朝六時、起き出して農作業用の帽子をかぶり、畑に出る。去年は三十分で終えた作業が、今年は二倍近くかかる。スコップを手に、ひと息を入れて、腰を伸ばす。畑の周りにはびこるタンポポを退治する仕事に精を出している家人が、「無理しないで早く家に入って、ご飯を食べようね」と声をかけてくれる。
歳をとるというのは、こういうことなんだ。去年までできたことが、できなくなる。できない、ということを自分が認めなければならない。五年前は、わからなかった、おのれの能力の限界。歳をとるというのは、こういうことなんだ。
テレビのニュースや新聞で報道されるガザやウクライナの戦争についての映像や記事を見聞きしていて、しばらく前にスクラップしておいた毎日新聞の記事を思い出して、読んだ。二月二日付の専門記者・栗原俊雄の記事である。
記事は、「まもなく歴史作家・司馬遼太郎の三十回忌が来る。この世を去ったのは、一九九六年二月十二日、享年七十二。急死に驚き嘆いた愛読者が多かった。私もその一人だ」と書き出される。
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(工藤 稔)
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