第五十八回小熊秀雄賞の最終選考会が四月十二日、市内高砂台の扇松園で開催された。その結果は、本紙四月十五日号で報じたように「該当作ナシ」だった。今回は全国から九十八冊の応募詩集が寄せられた。市民実行委員会による第一次選考で十六冊に絞り込まれ、四人の最終選考委員と、一次選考委員(五人)の推薦で八冊が最終選考会にノミネートされた。

 選考委員は、アーサー・ビナード(詩人・エッセイスト)、佐川亜紀(詩人)、堀川真(絵本作家・名寄市立大学教授)、松井晶彦(演出家)の四人。実行委の坂井勝さんが進行役を務め、市民実行委員会のメンバー約二十人が傍聴する中、四時間に及ぶ議論が始まった。

 開始から三時間半が過ぎるころ、選考の議論は二冊の詩集に絞られた。見守る私たちは、「この二冊のうちのどちらかが第五十八回小熊秀雄賞を受賞するのだろうな」と思いながら議論を見守ったのだった。四人の選考委員の中からは、「二冊に賞を贈ったら」という意見も出たのだ。ところが…、こうした選考の議論の展開、行方というのは、皆目わからないもので、四人の委員が二つに分かれて二冊を推し、議論は膠着状態に陥った。

 この賞の選考会で度々繰り返される、「小熊賞とは何か」「“小熊基準”に達しているか」といった根源的なテーマにまで議論は及ぶことになった。こうなると、それぞれ小熊秀雄と小熊賞に強い思い入れを抱く四人は一歩も引かない、妥協しない。だから話は前に進まない。「二人同時受賞」という“助け船”も拒否ということになる。その結果の「該当作ナシ」の結論だった。

(全文は本紙または電子版でご覧ください)

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。