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 サンロク街に今月開店したばかりの「蕎麦雪屋(そばゆきや)」さんにお邪魔しました。店に入ると、白い壁に一枚板の立派なテーブル。一見すると、何のお店かわからないような内装です。

 その名の通り、和食居酒屋の「雪屋」さんが開いた、十割蕎麦の蕎麦屋さんです。哘崎恭寛(さそざき やすひろ・36)代表が蕎麦の香り漂う韃靼(だったん)蕎麦茶を持って来てくれました。「料理人が打つよりも、趣味で蕎麦打ちをしているオジサンのほうが美味しい、というのが蕎麦。和食とは全く別の、独立したジャンルなんです。本当に奥の深い世界なんですよねえ」。

 さてメニューは、定番のとろろやおろし、天ぷらなどシンプル。「幌延産鴨そば」(千三百円)も気になりますが…初めてなので、お蕎麦本来の味を楽しめる「もりそば」(七百円)をいただきましょう。

 見るからにツヤッツヤのお蕎麦がやってきました。一口すすると、ツルツルとしたのどごし、コシのある食感、十割蕎麦の奥深い香り…。しっかりとしたダシの香るそばつゆ。思わずウットリしてしまう美味しさです。締めは蕎麦湯、素朴な味わいが、じーんと体に沁みわたります。哘崎代表のお言葉に甘えて二人前食べてしまいました。

 蕎麦粉は上川町産「きたわせ」。ダシにはサバとソウダガツオ、カツオ節を小樽から仕入れています。自家製の粉を注文が入ってから打っています。打ちたて、茹でたて。そりゃあ、美味しいわけです。

 旭川の蕎麦屋さんではちょっと珍しいおつまみもあります。「板わさ」(四百五十円)や「蕎麦がき」(五百五十円)をはじめ、揚げだしの「鴨天ぷら」(九百円)など。かけそばのつゆに天ぷらが浸った通好みの「抜き」(九百円)もありますよ。今後はニシン蕎麦や月見蕎麦など、試行錯誤しながら増やす予定とのこと。

 開店にあたり、蕎麦打ちに詳しい知人の下で修行したという哘崎さん。「十割なので、やはり非常に手間がかかりますし、僕が手打ちしますから、他の店舗は料理人を信頼して任せている状態です。経営者としては効率悪いです、ハハハ。打ちたて、茹でたての味わいを楽しんでいただけたらいいですね」――。

 日・祝定休。お昼が午前十一時半から午後二時、夜は午後六時から零時(金・土・祝前日は午前三時)まで。(取材・太野垣陽介記者)

ケロコのひとことメモ

 今、予約が取れないと言われている雪屋がお蕎麦屋さんをオープン。私は一番乗りでした。雪屋だもの、おいしいに違いないという期待通りに、本当においしいお蕎麦が食べられます。

 私のイメージでは十割は、ちょっとツルツル感に欠けるかなと思っていたのですが、私好みの食感でした。

 お昼に食べられるのも嬉しいし、休みの前夜は午前3時まで開いているのがもっと嬉しい。ごちそうを食べて、二次会、三次会と行って、帰る前に小腹がすいてきた。一応ダイエットと言っている手前ラーメンは重すぎる…そんな時に、ぴったり。ここなら一人でも行けますよ。

2016年12月13日号掲載