3ノ15、第一市場内・TEL23―0821

 僕は四十年近い糖尿病持ちだから、大福なんて自分では絶対に買わない。でも、カミさんが大の大福好き。だから、やむなく味見することになる。

 大福の味は店それぞれ。それだけでなく、地域によっても違うような気がする。例えば小樽。歴史ある街だけに、和菓子屋は多い。でも、平均的にモチが柔らかすぎて、僕にはイマイチだ。これに対し、旭川は僕好みの、しっかりしたモチが多いと思う。

 この店もそうだ。適度な歯ごたえがあり、とにかく美味しい。草(ヨモギ)、豆、塩の三種の大福(各百三十円)はその上、安くて大きい。美味しい原因のひとつは、昔ながらの製法で、保存料などの添加物を一切使っていないこと。その代わり、スーパーなどで売っているのとは違い、日持ちがしない。店内には「当日中にお食べください」との表示がある。

 創業は一九五七年。現在は二代目の村岡勝さん(75)、美津子さん(71)夫妻と息子の三代目、乾さん(43)の三人で店を切り盛りしている。「うちのは、その日限定。卸さないかとよく言われるけど、客から苦情が来たら嫌だし断っている。自分で作って自分で売れば、何を言われたって堂々とできるでしょ」と、美津子さん。

 さて、今回のお勧めは知る人ぞ知る、いちご大福(二百九十円)。まず、大きさにびっくり。高さ、直径とも七㌢はある。普通の大福の倍の大きさだ。モチのなかには、漉し餡に包まれた、これまた巨大なイチゴがごろんと一個入っている。この日のイチゴは東鷹栖産。

 ほおばってみたら、イチゴの甘くほのかに酸っぱい果汁が、じわっとあふれ出てくるではないか。モチと餡(あん)とイチゴが三位一体となって、とにかく絶品。午前中で売り切れることが多いというのも分かる。訪れる人を幸せにしてくれることは間違いない。

 定休日は日、祝日。営業時間は午前十時~午後三時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 ここに通って、もう20年ほどになるだろうか。大福と串団子を買いに行ったとき、横にあったいちご大福。初めて見て、食べてもいないのに「ありえない!」と思った。イチゴはイチゴ、大福は大福で食べたほうが美味しいに決まってる。でも、1個だけ買ってみた。

 食べてみたら、なんと美味しいこと。中に瑞々しい大きなイチゴが入っていて、一口目からモチ、あんこ、イチゴが一度に味わえる。今ではお土産にも使っている。後で必ず、美味しかったから買いに行ったよ、と言われるのが楽しみ――。

2020年04月28日号掲載