豊岡4ノ6ノ6・TEL090-1776-3253

 僕好み。なんだか、メチャメチャ好きになりそうな予感の店だ。何といっても、メニューに載った〈宣言〉が潔くていい。肉、魚、卵、乳製品を使わず、安心な伝統製法調味料や雑穀、野草、有機・無農薬栽培の新鮮野菜を中心に植物性素材百パーセントで作った世界の家庭料理を提供します――。

 いわゆるヴィーガン(完全菜食主義)料理というと、いくら健康にいいといわれても、味気なくておいしく感じられないのが普通。ところが、この店は美味しい。メニューも、タイ北部の名物カレーヌードル・カオソーイ(千百円)、西アフリカごはん(千二百五十円)、スパイスカレープレート(千三百五十円)、宇宙ラザーニャプレート(千二百円)と、名前を聞いただけでもワクワクしてくる。

 いただいたのは有機玄米定食(千三百円)。ピーマンの肉詰め風、中東風の野菜と豆の煮込み、揚げナスの田楽、春菊の白和え、ヤーコンとキヌアの天ぷらなどが中身。どれもしっかりとした味付けで、大満足。肉詰めは、大豆ミートで作っているそうだが、本物の肉より美味しいのではと思わせる出来栄えだった。

 さらに、デザートにチーズケーキ風のケーキ(六百円)をいただいた。こちらもナッツがたっぷり入り、本物顔負けの美味しさだった。
 開店したのは昨年十一月。オーナーの木村正人さん(59)は、京都出身でもともとパーカッションを専門とするミュージシャン。若いころからニューヨークで十六年間暮らし、国内外で活躍してきた。五年前、「いい水を求めて」旭川のペーパンに移住。ところが、コロナ禍で音楽の仕事が激減し、奥さんの由希子さん(47)とともに世界を旅してきた経験を活かそうと店を開くことにした。

 店内の壁には、アフリカの織物や子どもたちの写真などが飾られ、食器はメキシコやチュニジアなどのカラフルな陶器を使うなどエスニックさがあふれる。コロナのために、海外旅行に行けない日々が続いているが「旅に出た気分でゆっくり、おくつろぎください」と木村夫妻。定休日は日、月、火曜日。営業時間は午前十一時半~午後四時半(金曜のみ午後九時)。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 行こうと思ったら休みで、縁がないのかと諦めていたら、やっと行けた。ヴィーガン料理の店で、有機野菜をたくさん使っている。

 エビフライと思って食べたら人参だったり、コロッケかなと思ったらレンコンだったり、それが全部美味しい。店内にはカラフルな布地が置いてあって、バッグやエプロンも可愛い。

 西アフリカで世界の菜食料理を作っていたとか、ご主人はアフリカでツアーをしていたミュージシャンだとか。

 週に3日も休みで何してるの、と聞くと縫い物をしているそうだ。今度またゆっくり行ってみよう。

2021年11月16日号掲載