朝、居間で新聞を読んでいた家人が「これって、将来、徴兵制にする布石じゃないかしら。私、考えすぎ?」と言う。七日付の朝日新聞は一面トップで、「18歳選挙権 今国会成立へ 6党一致 来夏参院選にも」の見出しで、与野党六党が選挙権を持つ年齢を十八歳以上にする公職選挙法改正案を今国会に提出する方針で一致したと報じた。法案の成立は確実で、早ければ来年夏の参院選から、十八歳以上が有権者になるという。

 家人の心配はこうだ。「憲法改正の手続きとして行う国民投票も十八歳以上になったじゃない。若い人の意思を尊重するようなフリをして、その実、戦争の何たるかを全く知らない世代に投票させることで、戦争放棄を謳う平和憲法を葬り去ろうという魂胆よ。投票する権利を与えるから、その責任や義務を果たせ、という論法でしょうよ。子どもはどんどん減っていく、自衛隊は国防軍になって海外の戦場に出ていって戦死する。国防軍に志願する若者が減る。そこで徴兵制よ。そのために、いま、十八歳選挙権だと思うわ。去年の十二月の衆院選を仕組んだ首相だもの、それくらいの仕掛けを考えるわよ」

 「イスラム国」による日本人人質殺害の衝撃が冷めやらぬ中、安倍政権が一見唐突に、憲法改正の動きを見せ始めた。二日付の毎日新聞の記事を引用する。

 ――安倍晋三首相は4日、自民党の船田元・憲法改正推進本部長と首相官邸で会談し、憲法改正の発議や国民投票の実施時期は来年夏の参院選後になるとの認識を示した。改正する条項は国会や党で丁寧に議論して絞り込むよう指示した。(中略)

 船田氏はまた、改憲する条項について「環境権」や「緊急事態条項」の新設が候補に挙がっているとも説明したが、首相は具体的な言及はせず、「大いに議論し、1回目の改正の中身を絞ることを丁寧にやっていくべきだ」と指示。最初の改憲で一度に多くの条項を改正するのではなく、絞り込むべきだとの意向を示した。(後略・引用終わり)

(工藤 稔)

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