緑が丘南3ノ2
TEL66-6336

 美味しい店は何回紹介してもいいよね――。ケロコさんと話がまとまり、約一年十カ月前に続いての登場。

 週三回しか営業していないこともあって、相変わらず混んでいる。午後すぐに商品がなくなるから、客の半分は予約して訪れるそう。「コロナ禍でも来てもらい、本当にありがたい」と、店主の伊藤千尋さん(54)。

 子育てを一段落した伊藤さんが、子どものころから大好きだったパンや菓子作りを本格的に再開し、店を開店したのが二〇〇五年。レーズンを種にした道産小麦の自家製天然酵母パンにこだわり、パンの中に入れるホワイトソース、あんなどはみな手作り。「家族や大切な人と一緒に、楽しくおいしく安心して食卓を囲んでほしい」という願いを込めてパンを焼き続けている。

 小さな店内には、常時三十五種ほどのパンと焼き菓子を並べている。僕のお勧めは、全粒粉入り食パン(一斤三百六十円)。全粒粉パンとは思えないほどもちもちとして、かめばかむほど麦の香りとおいしさが口の中に広がる。前週はチャバタのサンドウィッチを紹介したけど、このパンも野菜をたっぷりはさんだサンドウィッチにぴったりだ。

 このほか、有精卵とバター、牛乳が入ったほんのり甘い丸パン(五個三百六十円)、ゆっくりと一昼夜発酵させたサクサク、しっとりのクロワッサン(百五十円)、岩塩の旨味とローズマリーの香りが食欲をそそるフォカッチャ(百八十円)など、どれもこれもおいしい。伊藤さんによると、どれも平均に売れており、お客さんはそれぞれ違うひいきのパンがあるのだとか。

 店名はアイヌ語で「今日」という意味。今日一日を大事に生きていきたい、たーんと食べてもらいたいとの願いを込めている。営業日は木~土曜日・祝日。時間は午前十一時~午後六時三十分(なくなり次第終了)。(フリーライター・吉木俊司)

 

 

ケロコメモ
 緑が丘の自宅でパン屋さんを始めて、もう17年目を迎えるそうです。
 オープンしてすぐに行き、全部手づくりで手間暇かけているなあ、と思ったのを鮮明に覚えています。

 私の家からは結構遠いので、頻繁に行くわけではないけれど、たまに思い出して無性に食べたくなる。

 遅く行くと、お目当てのパンが売り切れていることがあるので、早い時間に行くか、予約するのがオススメ。

 好きなのは、はちみつバターパンといちじくのカンパーニュ。コーヒーと食べるパンは最高です。

2022年03月30日号掲載