前週号の小欄を読んでくれた友人が漬物を届けてくれた。「見るからに体に悪そうな『○○○○の△△△ちゃん』が大好きというから、これなどもきっと好みだと思います。でも、無添加・無着色だから、もの足りないかな」とのメッセージ付き。もう一人、友人の奥さんからも二種類の漬物をいただいた。こちらも、「△△△ちゃん」に似たタイプだが、京都のメーカー製の高級品。家人に「血圧を考えて、食べ過ぎないようにね」とチェックされながら、おいしくいただきました。
軽く、前週のおさらいを。札幌の漬物メーカーが製造したハクサイの浅漬けが原因で、八人が死亡した腸管出血性大腸菌O157による食中毒をきっかけに、厚生労働省は全国の保健所を通じて「漬物の衛生規範」の改正を通知した。その趣旨は「衛生管理の徹底」。その規範改正を主なテーマにした講習会を取材して、度肝を抜かれた。浅漬けにする材料の野菜はすべて、次亜塩素酸ナトリウム(塩素)溶液に、100ppmなら十分間、200ppmなら五分間、浸けて殺菌しなければならない。その濃度は、水泳用プールの塩素濃度の最大五百倍にせよ、というお達し。〇・四~一ppmのプールでさえ、鼻がツンとしたり、目がチカチカするというのに、その数百倍の塩素に野菜を浸す…。
漬物屋さんを訪ねた。まず、元農家の奥さんが一人で作って売っている小さな工場。地元野菜を使い、添加物は一切なしが売りだ。札幌のメーカーによる事故の後も、漬物の売り上げに影響はほとんどないそうだ。その日も大根の玄米漬け作りの真っ最中だった。
「今は時期的に浅漬けは作っていませんが、来年、春からどうしようか悩んでいます。保健所の人は、塩素を使わなければダメだと言います。200ppmって、この樽に、このカップ一杯の塩素ですよ。流水で洗い流せば大丈夫だって言いますけどねぇ、気持ち悪くて。それに、うちの場合、ナスでもハクサイやキャベツでも、作って四、五日のうちに食べてもらっています。日が経てば、段々すっぱくなるから、食べる側は自然にそうなりますよね。すっぱくなるということは、発酵するということ。発酵することでO157だって、ほかの大腸菌だって、死んでしまうんじゃないですか? と思うんですけど、保健所の指導に従った方がいいのかな、とも思うし。本当に困っています」
(工藤 稔)
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