二十四日朝、友人からメールが届いた。「JRがいよいよ公共交通機関の看板をおろし始めましたね」という内容。「地方切り捨てのために、市民の税金を使って大きな駅舎を整備したとは…。北見や稚内の人に申し訳ないですね。ほんの始まりだそうです」とあった。

 その日の北海道新聞が報じた、来春のJRのダイヤ改正についての感慨だった。以下、その道新の記事――。

 JR北海道は来春のダイヤ改正で、札幌―稚内間の特急「スーパー宗谷」2往復と特急「サロベツ」1往復の計3往復のうち2往復を旭川―稚内間に、札幌―網走間の「特急オホーツク」4往復のうち2往復を旭川―網走間に短縮する方針を固め、23日から沿線自治体への説明を始めた。車両の老朽化が進む一方、経営難で代替車両を確保できないため。乗客の利便性に直結するため、JRは札幌―旭川間の特急と乗り継ぎしやすいダイヤにするなど、調整も進める考えだ。(後略・引用終わり)

 友人のメールは、二〇一一年(平成二十三年)秋に完工した新JR旭川駅舎は、高架化も含めた全体の事業費六百十億円のうちJR北海道が負担したのは五%弱の二十八億円で、残りは国が二百五十億円、北海道が百六十五億円、そして旭川市が百六十七億円を負担した経緯を指している。不必要に思えた大きな駅舎は、始発・終着駅になることを想定していた証なのだろうと。

 「ほんの始まり」というのは、旭川以北の線路自体が消滅する方向にあるのではないか、という危惧だ。JR北海道は、今春のダイヤ改正で、道内のローカル線八路線の普通列車七十九本を減便している。宗谷線の名寄―稚内間でも六本が廃止、二本が一部区間廃止になった。利用客が減って減便し、さらに利便性が失われてますます利用客が減る…負の循環に拍車がかかるという状況だ。

 宗谷線の特急停車駅の一つ、豊富町に住む友人に話を聞いてみた。彼は弊紙の読者でもある。

 「申し訳ないけど、鉄道はすでに役目を終えた、過去の遺物だと思うよ。例えば、豊富町の役場の職員が、稚内市にある宗谷振興局に用事があって行くとしよう。車なら片道四十分。半日あれば足りる。JRを使ったら、南稚内駅で降りて、バスを使うか、タクシーにするか、いずれにしても暇と経費がかかる。汽車の本数も少ないから一日仕事だ。この忙しい時代、コスト的にも、誰がJRを使う?」

 「札幌や旭川に行くにしたって、都市間バスがいくらでも走っている。しかも運賃はJRよりも安い。豊富―札幌のJR運賃は、九千六百九十円、一人だよ。当たり前だけど、二人なら二倍、三人なら三倍だ。ペアチケットをつくるとか、家族やグループで乗れば割引するとか、営業努力の余地はあるだろうが、豊富駅までの足を考えたら、さほどの効果は期待できないだろうね」

 

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。