「広報八月号に、補助金見直しについて懇談会をつくるから、その委員を募集しているって出ているけど、知っているかい?」――読者でもある友人から電話があった。彼は今は遠方に暮らすが、私と同じ文化団体に所属する仲間。旭川を去っても、広報「あさひばし」を何らかの方法で手に入れて、熟読しているらしい。

 彼が言う「委員募集」は、二十六㌻にあった。「文化芸術等補助金の見直しに関する懇談会の参加者を募集」。二十歳以上の、原則として市の付属機関などの委員に就任していない、男女各一人。十月、十一月の期間に三回程度の意見交換を行う、とある。

 情報をくれた友人は、何年か前にも、文化芸術関連に対する補助金を削減する動きがあったが、団体の反対で立ち消えになったと記憶する、と話した。そして彼は警告する。「市は、補助金を減額するつもりだ。今でも大変な会の運営が、ますます厳しくなる。対策を考えなければダメだ」と。

 旭川市の財政が相当厳しい状況にあるのは、今号四面の「議会みたまま」からも察知できる。町内会が行っている紙やビン、アルミ缶、布類など「再生資源」回収に対して市が支出している「奨励金」を減額するそうだ。回収量がダントツに多い紙を一㌔当たり〇・五円引き下げる一方、回収量が少ないビンと布類を一㌔当たり一円引き上げるカムフラージュで、年間五百二十七万円を「節約」するという。住民が町内会の活動費を捻出するためのボランティア作業に対する、わずかな〝ごほうび〟を値切らなければならないほど、私たちのまちの台所事情は切迫している。

 節約は、子どもにも及ぶ。今年度から、市内の赤ちゃんに絵本をプレゼントする事業の予算が削減された。「うぶごえへの贈り物」と名付けられ、地域の民生児童委員が、生後三カ月までの赤ちゃんがいる家庭を直接訪問して届けている。

 前年度までは、赤ちゃん一人に二冊の絵本が贈られた。ところが、今年度から予算が削られ、一冊になった。これで三百二十六万五千円が浮いた。予算を審議する議会で、公明党のもんま節子議員から「こんなささやかな事業費を削ってどうするのか」と追及された西川将人市長は、「厳しい財政状況の中、子育て施策全体の充実を図る財源確保のため、やむなく減額の判断をした」と答えた。ことほど左様にこのまちの台所は火の車ということだ。

 どうして、町内会への奨励金や赤ちゃんへの贈り物、文化芸術分野への補助金といった、目立たないけれど行政の核とも言える市民サービスが質量ともに劣化に向かうのだろう。

(工藤 稔)

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