歳をとると、時間が過ぎるのが速くなる、と言われますが、本当ですね。毎週、文字通り呻吟しつつ小欄を書いているうちに、もう今年最後の紙面です。読者の中には、「呻吟しつつ読んでいるのは、こっちだ」とおっしゃられる方がいるかも知れませんが。

 今号一面にあるように、新庁舎の建設費が、約百五十一億三千万円(税込)だと初めて示された。十二月議会で、議員の質問に答える形で、担当部長が答えた。

 これまで市は、今年四月に公表された基本計画で百十億五千万円(税別)と説明してきた。また、一貫して「四十万円」と説明してきた一平方㍍当たりの単価は「五十三万円」だと明らかになった。三割以上の“値上がり”である。

 うがった見方をすれば、これまでは税抜きの金額で少なめの印象を与え、実施設計に進むとさらに増える可能性が高いから税込の金額を発表する、小賢しい印象操作にも映る。

 建設費は、到底この百五十一億円では収まらない。閉鎖・撤去なのか、改修・継続使用なのか、この段階になっても正式に決められていない、七条地下駐車場にかかる経費があるからだ。

 小欄で何度も指摘してきたが、三年半前、二〇一六年五月に公表された「新庁舎建設に向けた基本的な考え方」では、基本理念として「市民でにぎわい、親しまれるシビックセンター」を掲げ、「文化会館の建て替えと合わせた一体的な敷地利用計画とします」と謳って、七条地下駐車場の撤去費として九・一億円を見込んでいる。この数字が示された基本計画骨子では、地下駐の撤去費を含む建設費は、百十八億円。地下駐分を抜くと約百九億円である。

 住民説明会でも、市議会でも、選挙の折も、声高らかに自賛していた西川市長の口から、いつの間にか「シビックセンター」という言葉が発せられなくなった。そして、一体的に整備されるはずだった文化会館は、レストラン部分だけが解体され、今後、改修して使い続けるのか、それとも一時は、所管する教育委員会と協議もせずに発表した「建て替え」になるのか、全く不透明な状態のままだ。

 何より、地下駐はどうするつもりなのか。この議会で、補正予算として庁舎整備推進費(一九年度~二三年度の五年間)が認められたことで、新庁舎の建設工事は本格化する。地下駐車場の強度が足りないため、建設機械や資材を運び込む大型車は入れない。つまり緑橋通からは、建設関連の車両は出入りできない。いきおい、永隆橋通にそうした車両が集中する。市役所を車で訪れる市民の駐車場は、地下駐をのぞく全てが永隆橋通に面している。「先送り市政」がもたらす、恐るべき渋滞が現出しないことを祈るだけである。

 取材した記者の話では、建設費が当初の予算から三割も増えたにもかかわらず、市議会議員たちはさほどの問題と考えていない様子だったそうな。だから、補正予算は全会一致で可決されたのだろう。

(工藤 稔)

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