はっきり言って、あまり好きではなかった。さしたる理由はないのだが、「違う世界の人」みたいな気がして。だから、主演した映画は一本も観ていない。歌も好んで聞かなかったし、レコードも持っていなかった。だが、この記事を読んで、反省した。まともじゃん。共演した田中邦衛の訃報もあるし、「若大将シリーズ」を観てみようか、と思っている。

 十日付東京新聞電子版を引用しよう。

 ――神奈川県は九日、東京五輪の聖火リレーで二十八日に藤沢市内を走る予定だった歌手で俳優の加山雄三さん(84)=茅ケ崎市出身=がランナーを辞退したと発表した。八日夜、所属事務所を通じてメールで連絡があったという。

 メールには「今あらためてこの世界の状況を見た時、手放しに開催を喜ぶことが僕にはできません」「勇気を持って僕は辞退いたします」「僕にとってひとつの夢であった聖火ランナーを辞退することは残念でなりません」と書かれていた。

 県の担当者は「新型コロナウイルスも原因の一つかもしれない。残念だが、加山さんの意向を尊重する」と話した。手続きが間に合わないとして、補欠ランナーからの繰り上げはせず、前後の走者の距離を延ばして調整するという。

 県内では、パラリンピック競泳選手の秋山里奈さん(33)、ラグビー選手の稲垣啓太さん(31)、元宝塚歌劇団雪組トップスターの望海風斗さんの三人が既に辞退している。

 この新聞が手元に届く頃には、開会式まで四十日を切っている。それなのに競技会場に観客を入れるか、入れないか、それさえ決まっていない。マジかよ、という話である。

 首相は、東京五輪・パラリンピックについて、「感染対策をしっかり講じて、世界から選手が安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく。これが開催の前提条件だ」と壊れたテープレコーダー(死語か?)のように繰り返す。

 この時点で、集まる人の数が不明。どうやって、どんな感染対策を講じるというのだろう。こんな危ない日本に、世界から選手・役員、報道、スポンサー関係者らが八万人だか、十万人だか(それも未定)、来るかあ?

 「何がなんでもやる気よ」と言う家人と、井泉のトンカツ弁当を賭けた。私は、東京オリ・パラは中止になると確信している。枕はここまで。

 「当会の会長が受け取りに参ります」と申し出たのだが、「そんな大げさにしてもらっては困ります」と固辞された。それで、旭川文学資料館(常磐公園内)の玄関で待ち合わせることにしたのだった。

 今年四月十三日、九十一歳で亡くなられた詩人・佐藤比佐良(ひさら)さんの夫人・蓉子さん(88)が、小熊秀雄賞市民実行委員会(橋爪弘敬会長)に百万円を寄付した。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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