3ノ6・TEL23―2266

観光客でにぎわう店は、落ち着かなくて苦手。でも、ここは急な階段を上って、観光客を押しのけてでも通いたくなる。

 店長の菅原達也さん(32)は、三代目。創業者の祖父は、もともと北見枝幸で大きな寿司店を営んでいた。三十七年前、父で現店主の宏さん(60)と旭川に移り住み、開業したという。だからか、代々みな魚介類の目利き。店で扱う主力は、北見枝幸で魚介卸をしている父の同級生から毎日新鮮で質の良い魚介を直送してもらっている。

 この日いただいた生ズワイガニ刺身(八百五十円)も、巨大な三本入りで価格が信じられないほど。口に入れると、ねっとりして、そして驚くほどの甘さ。今まで食べた中で一番おいしのではなかろうか。「活帆立ネギ味噌焼き」(七百五十円)は、テーブルの目の前で火をつけられて炎が上がる豪快さ。プリプリの帆立と自家製の合わせ味噌が絡み合って、ただただ旨い。

 このほかにも、めじか鮭チャンチャン焼(七百五十円)、めじか鮭のルイベ(六百五十円)など名物は多々ある。その中で、店長のお薦めは自身が一年前に創作したという「地獄の一丁目激辛豆腐煮」(七百五十円)。丼に入った醤油ベースの真っ赤なスープの中に、豚肉、ニラ、モヤシ、タマネギ、ニンジン、卵、ゴマ、そして豆腐などが感動するほどのボリュームで入っている。旨みもたっぷりで、夏バテには最高だ。ちなみに、さらに激辛で味噌ベースの「悪魔への挑戦激辛豆腐煮」(千円)もあるそうだ。

 カウンターには、日替わりでおばんざい料理が九種類ほどならんでいるのも、この店の魅力。肉じゃが、ニラの卵とじ、ナスの味噌煮など、どれも懐かしい味だ。お通し(四百円)はこの中から選んでくれる。五人で行けば、五種類を出してくれるというのも粋。居酒屋はこうでなくちゃ。

 不定休。営業時間は午後五時~午前二時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 噂には聞いていたけど、まだ行ったことのなかった「田子兵衛」。やっと行けました。まさに、私好みのお店。もっと早く行けばよかった。

 ホタテのお刺身を食べていたら、連れて行ってくれた人が「バター焼きも頼め」と、しつこく言う。いいと言ったのに、勝手に頼んでしまった。そして、来ましたバター焼き。「頼め」と言った意味が分かりました。

 締めはミニウニ丼。最高でした。ミニにしなければ良かった。まだまだ食べたいメニューがたくさんあるので、また行きます。

2018年07月24日号掲載