「地球規模で考えれば、日本人が現在の生活水準を今後、二十年、三十年、維持できると考えるのは無理がありますよね。世界の人口を食べさせる食料さえ足りなくなるわけだから」。旭川に本社を置く、六十代の製造業の経営者の話だ。

 「原発のことを考えると分かりやすい。目の前のコストだけを見れば、原子力で電気をつくることを是とするのかもしれない。でも、これから二十年、 三十年後、あるいは百年後をイメージすれば、出来るだけ速やかに脱原発に向かう方を選択しなければならないでしょう。フクシマで、私たちは骨の髄まで知ら されたはずですから。そこで、生活のレベルをどの程度まで落とすのか、抑えるのか、あるいはレベルではなくて、全く別の質という新しい尺度を採るのか。そ して、それはどのくらいの時間をかけて、ソフトランディングするのか。多分、今現在、日常の暮らしで使うモノを生産して売っている私の企業も覚悟を求めら れているんでしょうね」

 待てよ、この手の話、ごく最近、どこかで聞いたか、読んだかしたぞ。近ごろ、とみに怪しくなってきた記憶をヨロヨロとたどってみると、今月十二日 付の朝日新聞朝刊「オピニオン」面に行き当たった。見出しは「覚悟を求める政治」「競争に勝たないと 生活維持できない とことん努力を」。このところ「維新八策」「維新政治塾」などでマスコミを賑わせている橋下徹・大阪市長のインタビューである。

 政治家として実現したい「日本社会」の姿について、あくまでも経済成長を追いかけるのか、身の丈に合った暮らしがいいのか、と質問された彼は、次のように答える。

(工藤 稔)

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