トランプ米大統領来日のバカ騒ぎにあきれた。娘や夫人のファッションやら、飯のメニューやら、ゴルフで安倍首相が転んだ話やら。テレビというメディアは本当に罪深いと改めて知らされた。

 そのお祭り騒ぎ真っ最中の六日、沖縄の友人がフェイスブックに、「新たに二カ所 辺野古で護岸工事着手」を報じる現地テレビの映像をアップした。安倍晋三首相は「県民の意思など蹴散らして、辺野古新基地を大統領閣下に出来るだけ早くプレゼントします」という忠実ぶりをアピールしたかったのだろう。なりふり構わぬ、哀れなほどの幇間(たいこもち)ぶりである。

 トランプ大統領は、兵器のセールスに来たのだった。六日の首脳会談後の共同記者会見の報道を見て分かった。大統領は「米国の兵器を日本は大量に追加購入しなければならない」と要求した。大国のトップが、記者やカメラマンが居並ぶ場で、これほど露骨な押し売りをするのを初めて見た。和・洋の風習や礼儀の違いを考慮したとしても、品格の欠如は明らかだろう。その無礼な要求を受けた、反知性をウリにする我が首相の答えは、「日本は防衛装備品の多くを米国から購入している。北朝鮮情勢が厳しくなる中、日本の防衛力を質的に、量的に拡充しないといけない。米国からさらに購入するだろう」と二つ返事で「はいはい、買わせていただきますとも」と快諾したのだった。割れ鍋に綴(と)じ蓋、似た者同士、相性ピッタリ。

 報道で知る限り、日本で「トランプ帰れ」みたいな抗議行動はなかった。ところが韓国では、約三百の市民団体が沿道で「ノー・ウォー ノー・トランプ」の声を上げたのだという。当然だろう。北朝鮮の首都ピョンヤンから韓国・ソウルまで直線距離で二百㌔、軍事境界線からわずか五十㌔。軍事に詳しい友人に言わせると「ミサイルなんか不要。普通の大砲が届く。戦争になれば、ソウルはあっという間に火の海になる」。

 比べるべくもなく、日本海を隔てた日本は、Jアラートが鳴ったら頭を抱えて地面にうずくまれば何とかなる距離にある、ハハハ。麻生太郎副総理兼財務大臣は正直な人だから、先の衆院選の大勝の理由について、「明らかに北朝鮮のおかげもあるだろう」なんて口を滑らせたりする。為政者にも、国民にも、危機感など実は皆無なのだ。だから安倍首相は、武器のトップセールスマン大統領の軍事力を誇示するセールストークの尻馬に乗って、「北朝鮮と対話する時期は終了した」などと、戦争を煽るような発言を続けられるのだ。

 話題を変える。先日の衆院選で、公明党は公示前の三十四から二十九へと五議席減らした。自民党の支援を受けた小選挙区(神奈川六区)でも、二〇〇九年以来という落選者を出した。道十区(空知・留萌管内)でも、安倍首相や小泉進次郎衆議、山口那津男・公明党代表ら大物が続々応援に入ったにもかかわらず、野党統一候補に五百十三票差まで肉薄される、きわどい当選だった。
 選挙になると電話をくれる古い知人がいる。創価学会の熱心な信者だ。私が公明党に投票する確率は高くないのを承知の上で、それでも必ず電話をよこす。その彼に先日、久しぶりに会ったので、今回の衆院選について聞いてみた。「苦戦の理由は何だったと思う?」と。以下、彼が考え考え答えてくれた話。

(工藤 稔)

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