旭川市役所の新庁舎建設は、このまま既定路線の通りに進めていいのだろうか――昨年末から年明けにかけて、複数の読者や企業経営者、まちづくりの活動に関わる方たちから、強い危機感を持った話を聞かされたり、メールを頂いたりしている。現在三十五万人の人口が、二〇四〇年には二十五万人以下にまで減るのが分かっていて、なぜ、いま、市役所の新設に百億円を超える金を投じるのかと。

 旧知の社長は年始の挨拶に訪ねてくれた折、こんな話をした。彼は建設関連の会社を経営している。「西川市長が腹をくくって、市役所の建設は設計費を払った上で、計画はしばらく凍結すると表明すれば、まだ間に合う。新庁舎の建設で恩恵を受ける土木建設業界には、別の、完成後に金を産む、生産性が期待できる仕事をつくればいい。例えば市長が担当部局に指示を出したという、優佳良織工芸館など三館の存続だ。金の出し方は民間も含めて様々考えられるが、とにかく織物の存続もさることながら、あの施設を大胆にリニュアルすることだ。道外から来た〝大人〟を案内できる施設が旭川にはない。動物園に連れて行くわけにもいかないだろう? 仕方がないから、東川の日本語学校や学生会館、織田コレクションを展示している文化芸術交流センターを見てもらったりしているけどさ…」

 いささか観点は違うが、市議の一人からメールをいただき、それをきっかけに新庁舎建設について意見を交わした。彼は、基本的に現計画に賛成する立場である。まず、年末に届いた市議からのメールのサワリを。

 ――十二月十九日発行号の「編集長の直言」について、私にとって看過できない表現がありました。

 当欄では、総務常任委員会での視察報告に関する記事(十二月五日発行号)を読んだ読者の方からのメールを引用し、市庁舎建設に関わる秋田市の視察に関して、「市議会議員の『問題意識レベル』の低さに呆れてしまう」と表現されました。

 恐らく編集長もこのお考えに違和感をお持ちにならなかったが故に引用されたのでしょう。この点について異論のある私から補足説明を申し上げます。

 「問題意識レベル」の低さ、ということなのですが、秋田市庁舎が中央吹き抜け構造であり、秋田杉をふんだんに使用していることなどを本市においても参考にすべき、との発言等があったことに対しての評価かと思います。前後の文脈から察するに、そもそも巨額の費用を伴う庁舎の建て替え自体に異論をお持ちの上、新庁舎に吹き抜け構造や杉材を用いることが、いわゆる贅沢な整備であり、過大な財政負担を招く浅はかな考えである、という受け止めなのかと思われました。

 建て替え自体については、私は賛成です。ただ、議会内でも様々な議論がありましたので、議会を代表する立場ではない私個人がこの段階で詳細をご説明することは割愛させて頂きます。
 そこで、視察内容にも関わる件についてなのですが、庁舎整備における吹き抜け構造は現在、決して、非効率で高財政負担を伴うものとはされておらず、むしろ自然採光や自然通風・換気を可能とする省エネルギー設計手法として認知されています。

(工藤 稔)

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