前号の小欄で、旭川市が「新庁舎建設基本設計(案)」を市民や市議会からの要請・要求を受けて見直すことになった件について、市民団体「市庁舎と旭川の未来を考える連絡会」(高木百合子代表委員)が提出した要望書の内容を取り上げた。ある少人数の会合で、それが話題になった。話のきっかけは、「どこまで時計の針を戻せるんだろう?」という、一人の素朴な疑問だった。前号の「考える会」の要望書の後段、「現赤レンガ庁舎」についての要望を簡単におさらいすると。

 ①総合庁舎の建て替えは、現庁舎に耐震強化を含めて大幅改修工事を実施すると多額の費用が必要とされ、解体ありきで計画が進められている。しかし、正式に耐震検査や必要な改修工事の費用の見積りは行われていない。

 ②近年、耐震や改修技術が向上していて、そのコストも大きく減額されている。現庁舎は、建築学的に高く評価された建物で、旭川らしさのシンボルでもある。積極的に市民の意見を聞く場を設けてアイデアを活かし、市民活動・文化活動・社会福祉活動・まちづくりなどに活用すべきだ。
 ③新庁舎建設に加えて、現庁舎を解体しないで活用すれば、旭川らしさを失わず、基本理念で示された「市民で賑わい、親しまれるシビックセンター」の実現につながるのではないか。

 「どこまで時計を戻せるか」と呟いた友人は、次のような話をした。
 ――報道によると、新庁舎の建設と一体で進められるはずだった文化会館の建て替えは宙に浮いた状態だそうだ。それに第二期棟の建設は、限りなく可能性ナシが、議会の共通認識だというではないか。だから基本構想の段階まで時計の針を戻せ、というのが編集長の主張だと僕はとらえている。正論だが、議会の同意を得るのは極めて難しい。彼らは、節目節目で同意して、ここまで進めてしまったのだから。

 ――二期棟の代わりに、現赤レンガ庁舎を改修して使ったらいい。タコ足状態だった教育委員会と農政部も新庁舎に入居する。吹き抜けをやめたり、張り出し部分を拡張したりして面積を確保するよう設計を大幅に見直すらしいけど、無理があるのではないか? またまた狭くなって、今と同じように、廊下やエレベーターの前にコピー用紙の箱が山積みにされる状態になるんじゃないか?

(工藤 稔)

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