前週の小欄、「ウソから始まった東京五輪なんか、止めてしまえばいい――」に読者でもある友人からメールが届いた。以下、そのサワリ。

 ――テレビも新聞も、マスコミは総じて「オリンピックばんざーい」だ。協賛企業のCMや広告で売上が上がるのだから、反対できるはずがない。

 今週の「直言」で、「立候補ファイル」には七月から八月にかけての東京が「天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と真っ赤なウソを並べて、五輪を招致していたと初めて知った。

 もう一つ、「復興五輪」というテーマはどこへ行ってしまったのだ? 安倍首相が招致のプレゼンテーションで「フクシマは、完全にコントロールされている」と出まかせを世界に宣言したのも、東京五輪は「東日本大震災からの復興」を大義に掲げて開催するという文脈の中でだったのではなかったか?

 貴方の奥方が怒っているというマラソン・競歩の、突然の札幌開催について、札幌市民、北海道民の了解は取ったのか? 札幌市議会で議論はしたのか? 道議会はどうなんだ? スポーツは観るのも、するのも好きだけど、貴方が言うところの“IOCのテラ銭稼ぎ”のための興業なんて、今からでも返上した方がいいと、私も思う。(引用終わり)

 十月三十日付の日経の記事に、「国土強靭化 強まる推進論」「与党内で3カ年計画延長案」「災害対策 見直し求める」の見出しの記事が載った。いまだに被害の実像が把握できない台風十九号について、「予測されて色々言われていたことから比べると、まずまずで収まったという感じだ」と不謹慎極まる発言をした自民党の幹事長らが、安倍首相に台風被害への対応強化を申し入れたそうだ。

 記事によれば、国は一八年十二月、西日本豪雨や胆振東部地震を踏まえ、「防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策」を閣議決定した。全国約百二十の河川の堤防のかさ上げや、大規模停電の防止など計百六十項目を明記し、二〇年度までの三年間で総事業費約七兆円を投じ、うち国費は三兆円半ばと決めた。同党は「三カ年計画」を前倒しで進めるべきだと主張し、さらに一九年度予算の予備費や補正予算を積み増すとともに、三カ年計画の延長、恒久措置とする案なども浮上しているという。

 記事には、土地改良の全国組織の会長を務める、この方が幹事長に就いた一六年夏以降、補正予算による公共事業費が一兆~一兆六千億円と、前年度に比べて二倍ほどになった。補正予算を公共事業費の積み上げに活用した、とある。

 台風十九号では、神奈川県で十四人、栃木県、群馬県、長野県でそれぞれ四人、埼玉県と静岡県でそれぞれ三人、岩手県と茨城県でそれぞれ二人、東京都、千葉県、兵庫県でそれぞれ一人、宮城県で十九人、そして福島県で三十人が亡くなった。七人が行方不明のままだ。

 あれほど、事前に「台風が来るゾ」「かつてないほど強烈だゾ」「大雨が降るゾ」「川が氾濫するゾ」「早めに避難した方がいいゾ」と警戒するよう呼び掛けていたのに、南は兵庫県から北は宮城県の及ぶ広範囲に、甚大な被害が出た。“まずまず幹事長”が失地回復のパフォーマンスでぶち上げる、これまで通りの「国土強靭化」なる施策で、ますます凶暴化する台風をはじめとする暴風豪雨、そして地震に対処できるのだろうか。なし崩し的に従来の土木工事にお金を注ぎ込み続けていいのか。などと考えていたら、タイミングよく、元・北海道経済産業局長の増山壽一さんのメールマガジンが届いた。

 一九六二年、京都市生まれ。東大法学部卒の元キャリア官僚。道経済産業局長の時代、「ものづくり大学」設立の運動に関わる中でお会いし、旭川で講演していただいた。経産省を辞してからは、政界への転身を目指していると聞く。「どこまで国土強靭化すればいいのか」のタイトルである。その要旨を。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。