敗戦から六年後に生まれたアナログおやじの私には、かなりの違和感があるのだが、近頃はコンピューターゲームも「脳の運動」という意味でスポーツと定義されるのだそうだ。昨年十二月十七日号のあさひかわ新聞で、旭川で初めて開かれたeスポーツについての講演会の記事を読んで知った。三十五歳も年下の記者の記事を抜粋引用すると。

 ――eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームで対戦する競技を指す。また「スポーツ」の定義を、日本では体育的な概念で捉えがちだか、広義では対戦して勝敗が決まるものすべてがスポーツとされる。

 講師は(中略)全国高等学校eスポーツ連盟理事の大浦豊弘さん。「性別の違いや障がいの有無、体格の差などに関係なくチャレンジできるのが大きな魅力。このほか、戦略的思考やグローバルコミュニケーションスキルの向上なども期待できる」と、eスポーツが持つ教育的価値を説明した。

 一月五日付北海道新聞が一面肩に三段の見出しで「旭川市がeスポーツ拠点 今夏にも市中心部に」と報じた。以下。

 ――旭川市は、情報通信技術(ICT)の拠点施設「青少年ICTパーク」(仮称)を市内中心部に設置する方針を固めた。施設に高速・大容量の第5世代(5G)通信システムを導入し、コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」の試合、観戦会場を整備する。今夏の開設を目指し、5Gシステムで市外会場とつないで、全国、世界大会の開催も可能になる。(中略)

 ICTパークは、旭川市3の8にあるホテルカンダが入居している8階建てビルの活用を想定。3~5階にある元映画館(約250席)をeスポーツの試合、観戦会場として整備。1階には高機能パソコンやゲーム機を置いたeスポーツのトレーニング室を置く。(後略・引用終わり)

 九日に行われた市長の定例記者会見で、NHKや共同通信の記者が、ICTパークについての道新報道を確認する形で質問した。市長は、新年度予算編成に向けてNTT東日本などと協議、意見交換をしている段階だとして中心市街地の活性化、子どもの遊び場確保、企業誘致と雇用拡大などにも資すると答え、「ターゲットは市内だけでなく道北一円の子どもたち、成功に向けて実現していきたいと考えている」と強い意欲を示した

 会見の最後に、小紙の記者が「確認ですが」と手を挙げた。「eスポーツについてですが、カンダビルの耐震はどうなってるんでしょうか」。

 実は、「あさひかわ新聞を拝読してる者です」という方から五日、小紙にメールが届いていた。以下。

 ――本日の道新の記事を読んで黙って居られなくてメール致します!
 旭川市がeスポーツ拠点の会場を設備する方針を固めた、と報道がありました。

 その拠点施設は街中の老朽化ビルである。耐震構造は大丈夫なのか? と疑問符が付く。

 eスポーツもオリンピック種目候補に上がってると報道は確かにあるが、生身の人間が血の滲むような努力をし、又仲間と切磋琢磨し頑張る、そんな人達を自分は心底応援したい!(後略)

 会見に同席している市職員は、「耐震になっていない…」とあやふやな答え。朝日の記者が驚きの声を上げた。「耐震構造になっていない?」。「確か、耐震構造になっていないと」と職員。西川市長が、「初めて聞いた…」とつぶやく。朝日記者は、「というようなビルに、青少年がかなりの人数が集まる施設をつくるのは、これは問題ないと?」と突っ込む。職員は「私どもは、施設をつくるというかですね、施設に対して入居させていただく、というか、スペースを活用するということを考えておりますので、その辺については協議はこれからということになるかとは思うんですが、現段階では、耐震化という形ではないということは確認しています」と、しどろもどろ。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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