赤レンガ庁舎を活かしたシビックセンターを考える会(代表・大矢二郎東海大学名誉教授)の十五回目の活動集会が二月十九日夜、市民活動交流センターで開かれた。
 二〇一六年三月に発足した同会の発起人には、市内外の建築家らのほか、田根剛、藤本壮介ら、世界で活躍する旭川ゆかりの建築家も名を連ねる。その設立主意書には、次のようにある。

 ――(前略)旭川の貴重な文化財である赤レンガ市庁舎を改修・保存して何らかの用途に活用しつつ、新しく創られる庁舎を適切に配置すること、すなわち新・旧施設を一体的に整備することこそ、成熟した都市の核 (シビックセンター)として相応しい方策だと考えます。市は基本構想を確定次第、新年度に基本計画を検討することにしていますが、私たちは市民的立場から、赤レンガ庁舎の耐震補強や新庁舎の在り方について多くの方々の知恵を集め、具体的な解決案を見出すべく本会を設立することにいたしました。(後略)

 集会には十五人ほどが参加した。基本設計案で示された「市民活動の支援」「旭川らしさの発信」を軸とするシビックセンター構想とは程遠い、単なるオフィスビルと化している。しかも当初の予算を大きく上回る、本体工事費だけで百三十七億円の巨費を投じるという。この事態は、会が目指す「赤レンガ庁舎を活かしたシビックセンター」構想の意義がますます大きくなっていることの表れだ。これまでの活動を検証し、今後の方針を探ろう。つまり、まだ諦めていないぞ、ということだ。

 大矢代表は、「今すぐ重要文化財にしたい! モダニズム建築88件リスト」に選ばれたこと、市長に対する日本建築学会や国際機関・ドコモモジャパンの保存活用を求める要望書、二万四千筆を超える署名簿の提出、高校生を対象としたワークショップや「建築を永く使い続けること」展の開催など、会の地道な活動を映像で振り返りながら、次のように「問題点」を整理した。

 ①一九九七年の耐震診断が赤レンガ市庁舎の実態を反映していない、いわゆる「竣工図」をもとに行われたことが明確にもかかわらず、市は再診断を行っていないし、今後、行うつもりもないこと。

 ②赤レンガ庁舎の取り壊しは、旭川市第八次総合計画(二〇一六年策定)で「都市づくりの基本方針」として掲げられた「〈造る〉から〈保全・活用〉への転換」と矛盾していること。

(工藤 稔)

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