オリンピックのお陰で、普段はほとんど見ることがない民放テレビにチャンネルを合わせた。と、北海道電力のコマーシャルが流れるではないか。「節電にご協力ください」。驚きましたよ。CM、コマーシャルメッセージ、広告で、自社の商品、つまり電気を「買わないでくれ」と宣伝しているのだから。民放各社が国会周辺の反原発の大集会を報道できないわけだわな、ハハハ。

 北海道電力は七月三十一日、泊原発の停止で火力発電所の燃料費が増えたため、本業のもうけを示す営業損益が二〇一二年(四―六月)百四十七億千九百万円の赤字に転落したと発表した。北海道新聞の報道によると、川合克彦社長は記者会見で「(泊原発停止が長期化すると)料金も含めていろいろな対策を考えなければいけない」と述べ、今後、料金値上げの可能性を示唆したそうな。

 真面目な顔をして会見かなんかして、記者たちも多分真剣な表情で質問したりして、何だかとても大変な事態に陥っているかに見えるが、その実、ほとんどブラックジョークの世界ではないか。テレビ局に金を払って「うちの商品を買わないでくれ」とコマーシャルをしておいてですよ、泊原発が稼動しなければ赤字になるから、電気料金を値上げしなければならなくなりますよ、と脅迫しているのですよ。

 電気を使わせていただいている私たち道民は、フクシマの事故がフクシマだけの特別な事情があって、あのような悲惨な状態になった、とは思えない。泊原発は、絶対にあのような事故を起こさない、といくら口で説明されても納得できない。二〇一一年三月十一日まで、フクシマも「絶対に安全だ」と信じ込まされていたのだから。

(工藤 稔)

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