同世代の友人が「年を取ると、どうして時間の流れが速くなるんだろう。ねえ、どうしてだ?」と真面目な顔をして聞く。確かに、目の前の事象にオロオロと対処したり、見過ごしたり、知らないふりをしたりしているうちに、気がつけば、もう年末。二〇一八年最後の小欄を書いている。友の言葉、年々時が経つスピードが増す、それは実感だ。年が明ければ、六十八歳。七十歳も目の前である。スピードが増す理由を考えているうちに、逝っちゃうんだろう…。

 さて、前週の小欄「旭川大学の公立化と『デザイン系学部』の新設について、『市民の会』の意見を少々」に対して、読者から「反論」のメールが届いた。「市民の会」とは、世界的な家具メーカー、カンディハウスの創業者・長原實さん(二〇一五年十月死去)を会長に、東海大学旭川キャンパスの閉鎖に危機感を抱く市民がつくった運動体である。その中心メンバーの二人、伊藤友一会長(デザインピークス社長)と澁谷邦男副会長(東海大学名誉教授)が、旭川市が民間コンサルタントに委託した旭川大学の公立化計画についての調査結果に対して、意見を交換しているメールを紹介したのが前週の小欄だった。その詳細は省く。時々、市政に対する意見や提言を送ってくれる方の「反論」は、中々説得力がある。紹介しよう。

 ――今週の編集長の直言、あまり賛同できませんね。登場人物はお二人とも懇談会のメンバーで、市との三者協議の主体者ですね。メールのやり取りですからご自由に考えを述べたのでしょうが、懇談会は報告書まで出されたのですね。それにより外部調査を進めたわけですね。内容は私たち市民には報道記事程度しか公表されていません。
 はっきり言って問題先送りの留年市長と決められない議会のあり方・体質が問われますね。○○さん(あさひかわ新聞の記者)には当初から、法人の分離や経営移管には相当問題が発生する恐れはお話ししましたね。行政はここまできたらそれ相応の財政の裏付けを提示すべきです。早い話、四大部門は買い取る覚悟です。現実に買うか買わないかは別問題ですよ。

 庁舎問題があるからと先送りして、さもさも数年後には公立が実現するかの幻想を抱かせてはならないと思います。大学設立の理念すら明確にできない・なっていないのですから、学部をどうするこうするの話などあり得ない。

 議員の多くは「旭川市の高等教育を考える会議」がまとめた報告書すら読んでいないようですね。本当の当市の問題は、幼児教育から高等学校教育までの事実上義務教育化されている間の教育のあり方だと思います。どんな環境であっても、いかなる経済的なハンディがあっても、全ての子らが等しく安心して教育を受けることが出来る、全ての子らに平等の学習権を保障する、その上で大学等の高等教育を位置付けるべきでしょう。

 自分を発見し将来を見つめることが出来た子らは、更なる高みに挑戦すべく札幌や道内各地の大学ばかりでなく道外・世界へと羽ばたくのではないですか。いまの社会で最も必要なのは、しっかりした義務教育・高校教育を身につけた若き将来性のある労働力なのではないですか。そして更なる社会人の学び直しも国には要求すべきでしょう。大学進学有りきの大卒肩書社会は既に陳腐化していることに気づいて欲しいです。(引用終わり)

(工藤 稔)

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